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side. Madoka






「円サン、円サン…!!」


「んっ…ぁ……」


「円サン!ああ…良かっ、た…」



オレこそ、良かった…。

目覚めたら、キミがちゃんといてくれて。



やっぱり身体はまっさらで。

本当はこんな汚い身体には、触れて欲しくないんだけど…


キミの優しさには、感謝しきれないよ。







「酷くうなされていたから、心配したんですよ…?」



そう言って、自分が留守にしていた事を謝る昴クン。


もう夕方みたいだったけど、今日は平日。

高校生なんだし、学校に行ってて当たり前の時間なんだから。


キミが謝る必要はないのに…。







「今日はかなり荒れてたみたいですね…。」



オレの身体中に刻まれた痣を見て、顔をしかめる昴クン。

怖ず怖ずと大きな手で、オレの傷だらけの手を取られたかと思うと…甲に優しく唇を寄せられた。


思わぬ行動に、心臓が跳ね上がる。





「ごめんなさい…。」



切なげに見つめる昴クン。


そんな顔しないで。

なんだかオレまで泣きそうになっちゃうよ。







「違うでしょ?この傷はね、オレの勲章なんだよ…。」


「え…?」



どうしても昴クンとの、あの日の繋がりを残しておきたかったんだと…話すオレ。


ドキドキしながら、真っ赤になって告げたら。

ギュッとキミに抱き締められてしまった。


なんだか胸の奥まで、熱いや…。







「円サン…俺、決めました。」



ぐいっと両肩を掴まれ、真っ直ぐで強い眼差しを受け止める。




「生まれもった罪に縛られて、晃亮に何も言えなかったけど…もう関係ない。貴方が…」



これ以上傷つけられるのが耐えられないから。






「俺は、俺は…」



貴方の事が…





「──────…好き、です。」



ずっとずっと。

初めて貴方に救われたあの日から…


昴クンは、オレに偽りない本心を。

やっと打ち明けてくれたんだ。

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