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side. Kousuke





「…はあアァッ…────!!」



欲しかったモノが、

崩れていく。



今もこの腕の中。


最初こそ抵抗していたものの、

回数を重ねれば円の身体も素直になっていき。

俺が与える快感に素直に反応し、喜んで喘いでいるはずなのに…



何かが違う、そう思った。






「イッ────…ぁ……?」



まだ序盤。

今し方突っ込んだばかりのソレを、ズルリと引き抜けば。不安と恐怖…そして疑問を浮かべて戸惑う円の姿。





「…帰れ。」


「…え……?」



ひと言そう告げても、信じられないといった様子で目を剥き固まる円。


こんな事は今までなかったから、どうしていいのか判らないんだろう。






「チッ…もういい……」



円が一向に動かないから、そのまま服を身につけ部屋を出る。




「こう、すけくん…?」


「…………」



躊躇いがちに掛けられた声も無視して、俺はすぐに部屋を出て行った。







他とはなにか違ったから、興味が湧いた。

俺にも笑ったから、欲しくなった。


何より昴がいたから──────…なのに。




手に入れてみたら、アイツは泣いて震えるばかり。


解らない、分からない。どうして?






「すばる…」



お前なら、知ってる?

欲しいんだろう、アイツが。




を置いて、円のもとへ。


お前はアイツを知ってから、ずいぶん変わってしまった。




どうしても鎮まらない苛立ちをもて余しながら。

俺は足早に、夜の街へと繰り出した。

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