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side. madoka




「ど、して……」



決して嫌われてなんか、なかったと思う。


一見すると分かり難いけど。

晃亮クンも昴クンも、

オレを慕ってくれてたって…


自惚れなんかじゃなかったんだ、絶対。




なのに、なんでこんなコト────…







恋人同士が行う営みには程遠い、

残酷な仕打ち。


一方的なその行為は、ただ悲しくて。




涙が、止まらなかった。






晃亮クンは変わらぬ表情で、

オレの目を伝うそれを舌で舐めとると…





「言ったはずだ、お前は─────」



─────オレノダ。





「ァアアッ─────…!!!」



死刑宣告みたいに淡々と告げ、

首筋へと噛み付いた。



言葉通り噛まれた箇所からは、

生暖かい血が滲む。







「だ、め…こんな、良くないッ…!」



彼は間違ってる。

オレに何を求めてるのかまでは、解らないけど。



苦痛に顔をしかめ、

反抗的な言葉を発せば。


思い切り、頬を叩かれた。






「喋るな…」



オレノノクセニ。


冗談とかいうレベルじゃない。



彼は、


本気だ…






抵抗も発言も認められない。


逆らえば罰を以てして


力で、支配しようとする。




兄貴達の影響で、

不良を怖いと感じた事はなかったけど…



昔一度だけ、

酷い暴行を受けた時の…失った筈の記憶が蘇り、



過去と現実、

ふたつの恐怖が相乗して…




情けないくらい身体が震えだした。






(このままじゃオレ、)



コロサレル─────…








「いッ…たぁ…!」



ヌルリと胸元を這い回る舌が

胸の突起で止まり、牙を立てる。


痛みと恐怖、

不快感しか伴わないソレに。

オレの口からは悲鳴しか出てこなかった。






「泣け、もっと…」



胸を攻め立てながら、

片手で器用にジーンズとベルトを外しに掛かる晃亮クン。


ゾッとして暴れたら、また殴られて。

口内に鉄臭い味が広がった。


全身が勝手に震え、

カタカタと奥歯が鳴って止まらない。





「あ、やだッ…離し────…」



湿り気も無いまま、乱暴に性器を握り締められ、

扱かれれば。

陰毛と包皮が絡まり、

千切れそうなほどの痛みが走る。



こんな強姦まがいの行為だというのに。


男の性は恐ろしいもので…

性的興奮なんて無いのに、


触られれば緩く芯を持ち始めた。







「…………」



唇、乳首、性器、

ソレらを同時に犯される。


ただ苦しくて辛いだけなのに。

僅かでも反応を見せた身体が、


歯痒くて仕方なかった。






「あ、ぅ…ダメ、だ…コ、スケっ…!」



こんなコトしちゃダメだ。


何か伝えたい事があるのなら、

オレ、ちゃんと聞くから。

向き合って、話しをしよ?


そう切に願っても、

放たれる声は恐怖のみ。

頑強な戒めを解くことすら、叶わない。



少しでも拒絶反応を示せば、平手が飛び。

手の内の急所を締め上げられれば。



だんだんと何も…

考えられなくなっていた。

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