21
side. madoka
「ここ、は…?」
説明も何もないままに。
無言でスタスタ前を歩く晃亮クンに、ひたすらついて行くと────…
薄水色の壁の、如何にも高級そうな…マンションの前へと、辿り着いた。
「あっ…────!」
口を開けて建物を見上げていたら、
思い切り手首を掴まれ引き摺られる。
抵抗なんて無駄な位、晃亮クンの握力は強くて。
手首から先が赤黒くなるくらいの激痛に、
オレは堪らず顔を歪めた。
「ちょっ…────!?」
いくらなんでも納得がいかなくって、
口を開いたんだけど…。
見たこと無いくらい据わった
出かけた言葉は、
思わず飲み込んでしまった。
背中に冷たい汗が伝う。
最上階の角部屋。
有無をいわさずズルズルと中へ連行される。
靴も脱ぐ間すら与えられず、
なんとか足を振って脱ぎ捨てだけど…
彼は止まることなく、
また室内へと引き摺られていった。
そのままリビングを素通りし、
扉の中へ押し込まれる。
「つッ!…たぁ……」
家具もベッドもほぼ黒一色の、
殺風景な部屋。
灰色のカーテンは閉まってはいても、外はまだ明るい筈なのに…。
ここは何故か異質な空気を、漂わせていた。
フカフカの高級そうなラグに尻餅をついたオレを、
その影で覆い尽くし見下ろす晃亮クン。
先の読めない彼の、圧倒的なその姿に…
恐怖に駆られ、
オレはヒュッと喉を震わせた。
「コウ、スケく…ん…?」
殺気にも似た、彼の放つ毒にあてられ。
今頃になって身の危険を感じる。
最初出会った当初は、
静かでぼんやりしたコだなぁとか思っていたけど。
昨日のキスといい、今の様子といい…
普通じゃない何かを、
抱かずにはいられなかった。
「いッ────…!!」
突然馬乗りにされ、
床に叩きつけられる。
年下とはいえ、
体格はオレの一回り以上大きく逞しいから。
力で勝てる見込みは無く、抵抗すら出来ないまま、
片手ですんなりと捕まえられた。
「まどか。」
その様は、まるで狩りをする獣。
発情期のような、妖艶さと野性的な色を含んだ声音で、
彼は名を呼ぶ。
雌でもないのに、
射抜かれる眼差しはオレを貫き
離してはくれなかった。
「ああッ…!!」
無理矢理にシャツを引き千切られ、肌が露出する。
裂かれた生地が食い込んでしまい、
そこに痛みが伴った。
「────…!!」
それから休む間もなく唇を奪われ、
肌を大きな手が這い回る。
獲物を貪るかのような…
お世辞にもキスとは言い難いそれと、乱暴な愛撫に。
オレの思考は状況下に追いつけず、
真っ白になっていった。
「ンッ、ふ…ぁ!」
息継ぎも許されず、
口内を彼の舌で掻き回される。
混ざり合う、互いの唾液を飲み込む事も出来ないから…。
それは顎を伝い、
だらしなく首筋まで溢れ出していった。
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