14



side. Kousuke






「遅いね~、昴クン。」


ベンチに座り、買ってきたコーラを飲みながら、

円は昴が向かった先を何度も見やる。




「2人はお隣さん同士の、幼なじみなんだよね~?」


「ああ…からな。」


「前…?ん~てか2人はホントの兄弟みたいだよね!」


羨ましいなぁと、笑う円。

自分にも年が離れた姉と兄がいるのだと、楽しそうに話した。






本当の俺達を知らない円は、普通に接してくる。


何より驚いたのは、


俺が、他人に合わせて接している事だった。






最初は『ヘンなやつ』程度に興味が湧いて。



気づいた時には、もう


ハマっていた。







「昴クンもね、言ってたよ。」



晃亮は兄貴みたいなものなんだ…と。





「すばる、が?」


実際は、そんなキレイなものじゃない。

アイツは、縛られているだけだ。






「メールでだけどね~。昴クンて口下手な感じでしょ?あっ晃亮クンもそうだし、やっぱり似てるよね、キミ達!」


昴がメールを意欲的にする所など、想像が出来ない。



常に他人に牙を剥いて、

俺にしか応えないような、


全てを遮断して生きてきたのに、な…。







(ああ、そういえば…)



2年前の″あの日″にも、

こんなことがあった気がする。



過去などすぐに切り捨てていたから、

うろ覚えだったが。


あの日を境に、

アイツから禍々しさが消えてしまい。

女遊びも、自ら喧嘩に繰り出すこともしなくなったから。



珍しく、記憶に残っていたが。






昴は、

真っ当な人間になりたがっていた。


そのクセいつまで経っても、俺から離れようとしないから。






「兄弟…」


「ん?」



…ナンダソレハ?




「うーん…よく解んないけど────」



───なんでも許せるって事じゃないかな?





「フッ…」


「あれ…違ったかなぁ~?」



面白いな、コレ。


なぁ、昴。

お前が欲しがった意味が、わかったよ。







「決めた。」


「晃亮クン?」



俺を不思議そうに見つめる、円の後ろ。


こっちに向かって来た昴と、


目が合う。





俺はニヤリと笑い。

円を、抱き寄せた。




お前はどれだけ、俺を許せる?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る