第17話

 光に包まれた大は、少しずつ元の姿に戻っていく。やがて、超絶イケメンに戻り、私の目の前で道路に横たわった状態で片手で神棚に触れたまま、上目使いで私に目線を合わせてきた。


「大、どう?」


 もう元通りに近いから大丈夫だろうけれど、一応聞いてみた。


「うん。ありがとう。僕の家を持ってきてくれて。お蔭で野良にならなくて済んだよ。しかも」


 しかも、なんだ?


「片膝立ちでスカートの中まで見せてくれて」


 いいよ、大が助かったんなら、パンツくらい見えたって……んっ、パンツ?

 私、履いてないじゃん!


「何見てんだよ、このエロ神、セクハラ神。野良になって消滅してしまえ」


 そう叫んで、神棚を乱暴に、大の上に落とした。グエッとか聞こえたような気がするが、気にしない。あんなトコ見られてしまったら、もうお嫁にいけない。どうしてくれるんだ、私の結婚。


 結婚も大事だが、気づいてしまった私はまずなんでもいいからパンツを履きたかった。どうにもこうにも、スースーして落ち着かない。目の前にあった一枚に手を伸ばした瞬間。


 一迅の突風が目の前の一枚だけでなく、道路に散乱していた全てを空に巻き上げた。赤、青、黄色に縞模様、色とりどりのパンツが空に舞い、それは空にたくさんの色鮮やかな花が開いているように見えた。


「キレイ」


 そんな思いがよぎった次の瞬間、


「あーー、私のパンツーーー」


 私の叫びも虚しく、私のパンツたちは空の彼方に旅立っていった。終わった、また終わってしまった。森沙耶、本日二度目の終了のお知らせ。私は明日、ノーパンでパンツを買いに行かないといけないのか。なんたる屈辱、恥辱。私が絶望に打ちひしがれていると、復活した大が神棚を持ちながら声を掛けてきた。


「安心しろ、沙耶。僕がちゃんと守っておいたぞ」

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