第15話

 きれいに折りたたまれた私の色とりどりのパンツたちが道路に舞う。一瞬、キレイなどと変なことを考えてしまった。よく、考えろ、私。あれは、私のパンツたちだ。大の方を見ると、口をポカンと開けて呆然としている。


「大、これだけあればパワーアップできるでしょ。その口デカ女を倒せるでしょ」


「い、いや、これじゃ」


 なんですとーーーっ

 足りないのか、この枚数ではパワーアップできないのか。私のパンツは全て投げてしまっている。パンツが足りない、どうする、どうする、いや、あと一枚あるじゃないか。今日の服装が、膝上のスカートで良かった、これなら。私は履いていたパンツを脱ぎ、大に向けて放り投げた。


「これで最後、しかもホカホカだからね」


 ちょっとチビってるけれど、と心の中で付け加えた。でも、これでパワーアップできなかったらヤバいな。今度、バーゲンの時にパンツをたくさん買ってこよう。


「ありがとう、沙耶。これで楽勝だ」


 一瞬止まっていた大が、最後に私が投げたホカホカパンツを被って笑顔を向けてきた。普通なら、胸キュンもののシチュエーションなのだろうが、わかってもらえるだろうか、私のパンツを被って笑っている超絶イケメンが目の前にいる気分を。


 私が自分の感情に翻弄されている間に、大は口デカ女を消滅させていた。さすが、パワーアップした大は強かったのね。褒めてあげなくちゃ、で、大はどこに。


「大ーーーーーっ」


 いた。私の目の前の道路に倒れている。もうほとんど透き通ってしまっている。

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