我が家はエッチな屋敷神に守られています

絵空事

第1章 我が家の守り神

第1話

 皆さんの家に神棚はあるだろうか。私の家には、デカすぎじゃねっとツッコミを入れたくなるほどの神棚がある。私の家に遊びにきた友達は、百パーセントそうツッコんでくる。その位大きいのだ。


 しかし、その大きな神棚は毎日綺麗に掃除され、水、塩、米が供えられている。いや、いた。一週間前までは……


 私、森沙耶もりさやは、高校を卒業してフリーターをしながら実家で生活をしていた。ところが六月に祖父が、翌月に祖母が相次いで亡くなり、半年後には父親が一年間、海外への赴任が決まり、母も父についてアメリカに行ってしまった。残された私は、実家で悠々と一人暮らしと思っていた。




「ねぇ、沙耶、聞こえてる?」


 私はその声を無視して、寝転がって雑誌を眺めている。


「ねぇってば。マジ聞こえてんでしょ。ねぇ、沙耶」


 聞こえてるよ。だから、無視してんだよ。私は今、雑誌を読みたいの。その位、察しろ、バカ。


「ちょっと、この家のの僕の事、バカっていうのは酷くないか」


「勝手に人の心読まないでよ、エッチ。このエロ神、セクハラ神」


「いやいや、エロ神もセクハラ神も古事記にも日本書紀にも出てこないし、僕はそんな神様知らないよ」


「じゃあ、あんたが第一号だ。おめでとう」


 私は雑誌を置いて、自称この家の守り神、屋敷神のだいを睨んだ。


「で、何よ」


「まだ、お風呂入らないの?」


 このエロ神。私がお風呂やトイレにいる時に限って現れやがる。今も目をキラッキラさせてやがる。


 一番最初に大を見たのは、忘れもしないお風呂場だ。入浴剤を入れて白濁させた滑らかなお湯に浸かって、至福の時間を過ごしていた時、湯船の中からヌ〜ッと湧いて出たのだ。その時の光景を想像してみてもらいたい。ちなみに、大の姿は作務衣の様な服を纏った超美形の男の子だ。いくら美形の男の子でも、最大のリラックスタイムにまさか湯船から現れられるとさすがにトラウマになる。

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