world:00 閑話
第137.5話・プチっと借りパク!
「ところでプチちゃん、その頭に付けているのってもしかして?」
彼女の頭の上には初期の飛行機乗りが付けていたようなフライトゴーグルが乗っかっていた。
「えへへ~、いいでしょ。これ、アンジュラさんに頂いたのです。凄いのですよ、遠くが見えるのに両手が自由なのですぅ!」
そしてプチの言葉通りなら、形こそゴーグルだがレンズが組み込まれたメガネと言う事なのだろう。……双眼鏡借りパクってた事にやっと気が付いたのか。
「それにしても、こんなニッチなアイテムがあるんだね……」
その時、ウチの後にニヤリと笑う影があったんだ。気が付いた時にはそいつはすでに……
「素材合成で作った、アンジュラ印の特性ゴーグルだよ!」
アゴチョキでドヤっていやがりました。
「え? これアンジーが作ったん?」
「そそ。一応錬金術もそれなりに極めてるからね」
「マジか……錬金術なんてめっちゃファンタジーじゃないか!」
流石、異世界十年選手のアンジー。
「ウチも異世界に行って色々極めたいな~。チラリ」
と、女神さんを見たんだけど……。目を合わせようとしやがりません。その上距離を開けてきました。ちくせう!
「ところでところでアンジーさんや!」
「嫌な予感しかしません八白さんよ!」
「ウチにも……何か作っておくれ。もちろん費用は払うぞ」
……野菜でだけど。
「昔から原価厨ってのが嫌いでさ。物の値段って材料費よりも作り手がかけた時間や拘りに払うものだと思うんだよね」
どんなに小さいものでも“それ”を作るのに五時間かかるのならその時間分の対価が必要なのは当たり前なんだ。
「だからキチンと払うで~!」
……野菜でだけど。
「まあ、それは良いんだけどさ。いったい何を作らせたいの?」
「八白亜紀さん超絶強化装備パック!」
「無理!」
「即答かよ。少しは考えよ? ね? ね? アンジーさん!」
この一言に心を動かされたアンジーは口に手を当てて……
「無理」
「三秒かよ!」
「大体“パック”ってなによ。一式作れって事?」
ウチは“うんうん”と頷き、アンジーをじ~っと見つめた。彼女は『ふう』とため息をひとつつくと、話を進める様にと目で促してきた。
「まずはどんなものでも斬れる剣と~」
「……あ、嫌な予感」
「それから絶対に斬れない盾と鎧」
「無理」
「三秒以上考えろって!」
アンジーはジャケットフードの中に手を突っ込むと、ボールペンくらいの大きさの棒を取り出し、ウチに手渡してきた。
「……なんすかこれ」
「それをしっかり握って念じれば、その人に合った武器になってくれるって言う優れものだよ。最強装備は無理だけど最適装備になるよ」
マジか、なんかスゲーアイテムじゃん。でも……
〔どうしたのです? 八白亜紀。いつものアナタなら飛びつくようなネタアイテムですのに……〕
「いや、なんつーかその……しょぼい武器が出てきたら嫌かな~って」
〔なるほど、普段から自爆気味のアナタでしたらブーメランとか出てきそうですものね!〕
「……」
そこまで言うかこの詐欺女神は。アンジーもケラケラ笑ってんじゃないよ、全く。
「よし……」
「お、八白さん覚悟決めた?」
興味深々なアンジーと女神さん。この展開ならむしろブーメランが出た方が笑いがとれそうだけど、同時に何か大きいものを失いそうな気もする。そう思ったら何か怖くなってしまい……。
「……ちょっと
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キャライメージ画
プチ(ゴーグル装備)→https://kakuyomu.jp/users/BulletCats/news/16817330663986563125
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