第26話・キラキラ?
木々が生い茂り、薄暗いという条件が手伝ったのかもしれない。キティは誰にも気づかれることも無く、こっそりと横に回り込み隙を伺っていた様だ。もちろんウチも全くわかっていなかったけど、直感的にその辺りにいる感じがして思わず叫んでいた。
この
「すごいよキティちゃん。『非力』だなんて、自己評価低すぎだよ!」
単純なパワーや戦闘力という点ではティラノやルカには敵わないかもしれないけど、そのスピードを生かした技は唯一無二のもの。後方
「くっ……うぜえ。おいカス、おぼえとけよ!」
「あ~無理無理。カスだから記憶出来ませ~ん!」
……軽く煽ったらスゲー殺気を向けられた。こえぇ~。
猫耳ブラックは三人の
「マスター、なんで止めるのだすか?(キリッ)」
「あいつの性格を考えるとさ、ヤケになったら平気で
可哀想だけど、あいつの
ライズ化ってのは『強力な制約』だと女神さんが言っていた。それはジュラたまの力を使えば自死も命じることが出来るくらいのもの。もし猫耳ブラックが『死んでも戦え』なんて命じたら、あの
「それにしても姐さん、助かったっス! あんな技持ってたとは」
「ふっふっふっ……誰かを助けるのに理由がいるのかに?」
「……かに? っスか?」
〔噛みましたね。肝心なところで〕
……ウチのHPはもうマイナスやで。
♢
一夜明けて。
〔
「やはり送り込まれたって事か」
〔ええ、彼女の場合は“魔王討伐依頼”を受けて転移して来た様です〕
あの後、女神さんに調査を頼んでおいた件だ。あのキツイ性格ってのは、なにか余程のことがあったのだろう。だからと言って、昨日のあの言動を許すつもりはないけど。
それにしても凄い名前だな。新生って書いてネオとか、あいつ、キラキラネーム世代なのかな?
「そ、それで、どうするのですか? マスターさん」
「ん~なんというか……タルボちゃん達を救ってあげたいってのもあるけど、なにもしなくてもこの先間違いなくぶつかる相手なんだよね」
「早いうちに決着つけた方が良さそうだすな(キリッ)」
「それはそうなんだけどさ~」
そう簡単に解決する話じゃないんだよな。無意味な敵対心持った相手を説得するのはほぼ不可能に近いんだ。
「たださ……解放する方法が解らないとね。
「亜紀っちの師匠の女神さんは知らないのか?」
「ああ、何か知っているかも。ちな、師匠ではない」
〔はいはい、師匠が通り過ぎますよ。っと〕
「だからどこでそういうネタ仕入れてくるんだよ。それで……あいつの、初代新生の
〔あります〕
――よっしゃ! サクサク解放して無力化して、その後はどこかに隠居してもらおう。
「それで、その方法って?」
〔ジュラたまを奪えばライズから解放されます〕
……まあ、正直それなのかな~とは思っていたけど。ひねりも何もなくそのまんまか。
〔奪ったジュラたまを指にはめれば、八白亜紀、あなたの
「なるほど。手段は考えるとして、とにかくジュラたまを手に入れる事が唯一の解決方法なんやな」
しかし、何気に今恐ろしい事を言っていたな。初代新生の
「裏を返せば、初代新生がウチのジュラたまを手に入れたら、この
〔そういう事ですね〕
「そんな重要な事は聞かなくても教えろっての」
しかしこれはかなり難しいミッションやぞ。『くれ』と言ってもくれるわけじゃないし、そんな簡単に奪えるものでもない。無力化させてから奪い取るのが一番堅実なんだろうけど、そうなると結局戦わなきゃだし。チョコで回復するとは言っても、怪我する前提でみんなを戦わせるのはちょっと気が引けてしまう。
「痛いものは痛いからな。出来るだけ怪我させたくないんだ……」
〔でしたら八白亜紀、あなた自身が成長し、ジュラたまを通して
「マジか~。大嫌いな“努力というやつ”をしなければならないのか……」
でもやらないとウチの娘達がタルボと同じ目に遭ってしまう可能性があるし、やればタルボ達を解放出来るかもしれない。
「ならば答えは一つか……しかたねえ。その気になった時のオタクの底力見せたるか!」
〔やる気になったのですね。はぁ、やっと面倒事が減ってくれる〕
「相変わらず一言余計だ。で、成長って何を目安にすればいいんだ?」
〔人としての成長は数値化も可視化も出来ません〕
まあ、そりゃそうだよな。自分で判断しろってことか……なんかいきなり社会の荒波に放り出された様な感じがするわ~。元居た時代も白亜紀も、結局自分次第なんだよな。
「……
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