第137話・投げ捨てていました。

 上から下まで、着ている物を次々と脱ぎ捨てるルカ。胸にはいつもながらのサラシ、そしてボンタンの下に履いていたのは……何故か白いバミューダパンツだった。

 動きやすさと通気性を重視した、肌に密着しない形状。布を身につける事が嫌いなこのにはこれ以上ない装備なのかもしれない。


「ん~……」

「アンジー、どうしたの?」

「ルカちゃんってさ……。素は凄く良いんだから、あのバミューダにフリルブラウスをフワッと合わせればめちゃくちゃ可愛いと思わない?」


 わかる、めっちゃわかる。だけど……


「サラシですら嫌がるのに、ブラウスなんて光の速さで脱ぐぞ」

「だよねぇ、残念」

 笑ってはいるが心底残念そうなアンジー。

「……つか、いつの間にあんなパンツを調達したんだろ?」

「ああ、私が出したんだよ。ルカちゃんモデル化計画!」

「おまえでいやがりましたか」

 でも、気合が入っても痴女にならなくて済むのならそれに越したことはない。むしろアンジーに感謝だな。

「ま、本音言うとさ。あれには抗魔法アンチ・マジックを付与してあるから、自分の技で燃え落ちる事は無くなるからと思ってね」

「ほほう……でも、ルカちゃんの雷って魔法と違うんじゃ?」

抗魔法アンチ・マジックって言っても、炎や雷もまとめて、要はエネルギー系攻撃への抵抗レジストって事なんだ」

「なる。そんな便利なアイテムがあったのか」

 もっと早く知りたかったな~って、あれ? アンジーが呆れ顔なのですが。

「結構前からさ……」 

「うん……?」

超高性能抗魔法アルティメット・アンチ・マジックジャケットをルカちゃんに渡しているんだけどね」

 もしかしてあの……北でのメデューサ戦や毛玉竜戦で、無造作に投げ捨ててボロボロになってたあのジャケットの事か? あれってマジックアイテムだったのか。それも名前からして超強力なアイテムな感じが……。

「毎回毎回どこかに無くしてくるんだよ。結構貴重なのに……普通そんな事ある?」

「ある……のかもしれないのかな? 結構激しい戦いだったし」

 

 ……流石に『毎回雑に投げ捨てていました』なんて、言えないわ。


「ただこの装備って、注意しなければならない事があってね。味方のヒール魔法とかもレジストしちゃうんだよ」

「魔法回復受け付けなくなっちゃうのか。それめちゃヤバいじゃん」

「だから無闇に全員に渡すって訳にはいかなくて。とりあえず“飛ぶ娘”には持たせておいた方が良さそうだとは思うけど」 

 そうか……アンジーはその為に用意してくれたのか。回復魔法以前に、飛んでいる時に睡眠魔法マインド・レスト麻痺パラライズをかけられる方が危険だし、何より味方から離れた位置にいる場合が多いのだからなおさらだ。

 しかし、遠距離の娘はそれでいいとして、回復を受け付けないってのは、近接アタッカー的にはリスクも大きい。


「あ、まてよ……閃いた!」


「八白さん、その閃きって……嫌な予感しかしないんだけど?」

「こらこら……」

「パンツ脱いで体力回復どーん!!」

 うん、これなら飛びながらでも可能かもしれない。というか後で試してみよう。


「ね、プチちゃん!」

「い、意味不明な同意を求めないでくださいぃ~」

「それ、セクハラとモラハラとパワハラ混ざってるよ。八白さん風に言うとジュラハラのジェットストリームアタックだから」


「……あ、そろそろ模擬戦が始まりそうでございますよアンジーさんプチさんこれは注目の一戦ですねそうですね」

「ご、誤魔化しましたねマスターさん」


 ……なんか変な汗が噴き出てしまった。かんにんやで~。






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