第106話・姉ちゃん再び……
「あら、メデューサお姉様と
久しぶりの姉妹再会は、ラミアの“標準語”で始まった。
「なんてことざます。……まさか、本当に生きていたなんて」
「うむ、ラミアにまぢがいない。」
「だから、ウチは最初からず~~~っとそう言ってるじゃん」
|メデューサがしっぽの家に来た、それも朝早くに。最初は半信半疑で罠を警戒して、木陰からじ~~~っと観ているだけだった。だけど、あまりにもバレバレすぎて微笑ましいというか何というか……むしろ不審者だった。
ウチは“いつ出てくるかな?”って思いながら【おざら】作っていたんだけどさ。そしたら太陽が真上に昇っちゃったから仕方なく『お昼、ご一緒にいかがですの?』とタルボに声をかけてもらったんだ。
「でも……話し方が変ざますわ。本当に本物?」
「怪じいな。何が悪いもん食っだのか?」
普通に会話するだけで偽物認定されるとか、ラミアって、魔王軍ではどんだけギャルキャラだったのよ……。
「せっかく再会したとこ悪いんだけどさ、ちょっと話聞かせてもらっていいかな?」
アンジーの声を聞いた瞬間、メデューサとウェアウルフの顔に緊張が走る。
「あ、あの、何でしょう……」
「あら、お姉様、何をそんなに緊張しているのです?」
「ラミア、何を言って……。その人が誰か判っているのざますか!」
「誰って、ジュラぴはジュラぴだよ?」
「だよね~」
ハイタッチするラミアとアンジー。“ぱんっ”と響く音で、メデューサの緊張がより一層増した様だ。アンジーが魔王軍を“根こそぎ
「ジュ、ジュラぴだなんて失礼な言い方を……」
「ああ、
「命令って、“あくとすぐぼあ”さんは、その……」
「ああ、ドラゲロ・アンジーはウチの
アンジーがジト目で見てくる。言いたい事は判るけど、“悪名”をウチに預けたのは他でもない
「あと、あくとすぐぼあは忘れて。ウチが泣きそうだわ……」
「お姉様大丈夫ですよ。ジュラぴも亜紀ぴも弱酸性だから」
恐怖の絶対王者、ドラゲロ・アンジーを、そしてその“
「だからまあ、昼飯でも食べながら落ち着いて話そうよ」
「あ、これ、お二人の分のつけ汁っス。熱いから注意っスよ」
メデューサ達に声をかけたのは、つい先日“圧倒的な力を披露した”ルカ。一瞬“ビクッ”となるウェアウルフ。
「バルログ、加減するニャ。焦がしたら脳天チョップの刑ニャ!」
「ヒョ、やめテくだサい~」
そして鬼強いはずのバルログが、小さな猫幼女を敬い、笑いながら会話をしている。流石にこの状況は理解出来ないだろうな。ウチも出来てないし……。
「それで……聞きたい事と言うのはなんざましょう?」
「君達もバルログもさ、ラミアが死んだと思い込んでいたみたいだけど……」
鋭い目つきで射貫くようにメデューサを視るアンジー。腕を組んだまま微動だにせず、圧をかける。
「それ、報告したの誰?」
「あ、それウチも気になってた。どう考えても話が噛み合わないんだよね」
「ほ、報告は先遣隊からあったとだけ。内容はグレムリンから伝達されたざますわ」
「つまりそのグレムリンってのが
「報告した誰かが嘘をついているのか。だね」
流石にアンジーにも“誰が嘘をついているか”まではわからないみたいだ。でも、犯人は絞られてきた。ウチとしては“その悪役”を捕まえて『
「あ、あとウチからも二人に質問なんだけどさ」
「なん……でしょう」
うわ、ウチまでめっちゃ怖がられている。アンジー、そろそろ睨むの止めたって。圧かけんといて。
「グレムリンって、アレ何?」
「何ど言われでも……アレば、アレでじがない」
「アレでも幹部ざますので……」
「いや、アレがさ。アンジーは“つぶれた肉まん”って言っていたけど、ウチが遭遇したのは毛玉だったんだ」
ティラノ達を追いかけている時にすれ違ったあの毛玉が、まさか幹部の
「あの時、キティちゃんが出合い頭に“レックス・ヴォルテックス”ぶち込んだんだけど、当たらずにすり抜けたんだよね」
「挨拶代わりにスキル撃ったんスか。キティ流石っス!」
「ふっ……(キリッ)」
「ルカちゃん、そこは感心するところじゃないから。キティちゃんもアンジーの真似してアゴチョキしないの!」
……むしろ焦ったよウチは。確かに怪しい毛玉が走ってくるとは思ったけどさ。
「八白さん、多分それ
「つまり本体は別にいるって事?」
「問題は、本体がどこにいるか、だね」
最初は『本体の居場所ってそんなに重要なのかな?』と思いもしたけど、アンジーの考えは理にかなったものだった。本体が白亜紀に来て
……ま、その辺りの考察はアンジーに丸投げだけど。
「私も毛玉になる前の顏は見た事ないな~」
「
やっぱりウェアウルフと同じく魔王軍に入って日が浅いって事だったのね。と、思っていたらメデューサから衝撃の一言。
「だってラミアはまだ、学生ざますから」
……なんですと!?
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