第103話・新生のパートナー
新生のライズ化トリガーは、恐竜の目を真っすぐに見る事だった。転生/転移組三人の中では一番制約が少なく、サクサクとライズ化出来そうなイメージがあったけど、実際それはそれで結構大変なプロセスがあるらしい。彼女自身の精神的なものに関係しているのではないかと女神さんは言っていた。
ところで……ラミアが説得に向かった時には、すでに新生は自分の過去と向き合う決意をしていた様だ。コッソリと、それでいて上から目線で『もし俺が……この
「
新生が“じっ”とミクロラプトルの目を見る。『ピピピ……』と鳴きながら腕の中で大人しく動かないミクロラプトル。ライズ化する時の流れはウチやアンジーと同じで、少しずつ体の大きさが変わっていき最後に”ポンッ”と言う音と共に煙が発生、その中から
しかし今回はちょっとだけ様子が違った。多分イレギュラー的なものなのかもしれないが。本来、十メートルを超える巨大な体を、知能を与えつつ人間サイズに凝縮するのがライズ化だ。でもそれだと、人間サイズ以下の恐竜をライズ化したらどうなるんだ?
……その答えが今、ウチ達の目にあった。
ライズ化を受けたミクロラプトルは小さくなっていき……小さくなっていき……小さくなって……いった。“ポンッ”と煙の中から現れたその姿は、物語で見た事のある妖精そのものだ。身長は二十センチくらいだろうか、産まれたばかりの妖精さんは、新生の顔の周りをクルクルと飛ぶ。
「やあ、初めまして。ボクはミキ、得意なのは魔法全般だよ。ねおりん、よろしくネ!!」
緑のツインテールに紺のケープレット、そしてスパッツの上には白いヒラヒラの腰巻みたいなやつ……つまりよくわからん、ちっこいし。ぼわっと薄緑に光っていて、カゲロウの様な薄い羽根で優雅に羽ばたく。飛び回り、宙返りをするたびにキラキラと輝き、いつの間にか皆、魅入ってしまっていた。そして、濃い紫のジュラたまも新生の手の中に。
「ここにきてボクっ子かよ……」
「八白さん、今ものっすごく『欲しかった』って思ってるでしょ」
「う……うん」
完璧に見通されました。反論できません……。それにしてもオレ女にボクっ子のコンビって、ネタに振り切っているやないかい! って一瞬思ったけど、俺様ティラノとウチも同じような属性だった事に気が付きました……。
「はぁ? ねおりんってなんだよ。そんな呼ばれ方した事ねぇぞ」
「え~、じゃあ、ボクが初めてなんだね! 嬉しいよ、ねおりん!」
「てめぇ、ふざけんなよ……」
「おいおい、そんな小さい妖精さんに凄んでどうすんだよ。萎縮しちゃうだろ、ねおりん」
……殺気が籠った視線がウチに向けられました。
「そういう言葉使いしちゃダメなんだよ~。ボクが教えるから直そうね、ねおりん!」
「すげぇ、全然動じてねぇ……」
「これは驚きですわね」
ティラノやラミアも驚く胆力。流石あのバカでかいバルログに向かっていっただけの事はある。
〔ゆ……許しませんわ!〕
「女神さん?」
〔こんな暴挙、許すわけにはいきません!〕
「ど、どうしたんすか? 女神さん……」
〔キャラが私と丸かぶりではないですか!〕
あ……そこかよ。
「大丈夫、かぶってないって。エセ妖精とマジ妖精の差があるから安心しな!」
〔エセって、どちらの事を言っているのですか、八白亜紀!〕
ペチペチとカカト落としを連打するエセ妖精の女神さん。
「あ~、めちゃ綺麗な妖精さんだー! 亜紀りんの女神ちゃんなんだね、ヨロシクデス。いいな~、美人ってあこがれるな~!」
女神さんの周りを飛びながら、キラキラと光の粒を撒き散らすマジ妖精のミキ。
〔え……ま、まあ、ミキさんといいましたか。貴方も可愛らしいというか、ええ、私の次くらいに……よろしくおねがい……シマスワ〕
顏を真っ赤にしてどもる女神さん。……意外とチョロいぞ。
「いい
「そうだね~。初代にはもったいないから私がもらっておこうか?」
ミキを応援する意味があっての事だろうけど、アンジー、あんた半分以上本気で言っているだろ……。
「やらねぇよ。アホだろお前」
「年上のお姉さんに向かってその口はないんじゃないかな?」
「何か言ったか? おばさん」
「あぁ? 口のきき方を教えてやろうか、メスガキ」
……また始まった。こいつ等ホント飽きずによくやるよな。もうみんなして『またいつものコミュニケーションか~』って放置しちゃってるし。
「はいはい、そろそろやめときな。ケンシロウとラオウだって、闘いながらも相手の事を敬っていたんだぜ!」
「……」
「……」
……あれ? 無反応?
「誰それ?」
「知らねえよ」
「……君ら、ホントは仲ええやろ」
――――――――――――――――――――――――――――
キャライメージ画
ミキ
→https://kakuyomu.jp/users/BulletCats/news/16817330652128418582
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