world:06 あの顔この顔ヤツの顔
第77話・妄想暴走
四人ともいないなんて……
「とにかく急ごう。ティラちゃん達の安否もだけど……こうなると先行してもらったキティちゃんも心配だ」
……まさかすでに手遅れだったのか?
「トリスちゃんは?」
「えと、少し周囲を見回ってみるって言ってました」
「OK。八白さん、私は一旦自分の拠点に行くよ」
アンジーの
「適度ってなんだよ……」
……しかし状況がわからないうちは余計なことを考えてしまう。
あの四人が誘拐されたとか? いやいや、流石にそれはありえない。
それじゃ、魔王軍に全滅させられたとか? その方があり得ないな。皆パワーアップしているし。
そうするともしや……労働環境に嫌気がさして家出してしまったとか!?
「うう……みんな、かんにんやで~」
「マ、マスターさん、どうしたのですか~?」
「姐さん、なぜ涙目なんスか……」
「き、君達はウチを見捨てないでおくれ~」
〔相変わらずですわね。また
♢
そろそろ拠点も近くなってきた。このままペースは落とさずに警戒を強めながら進まないとだけど。それにしても何かおかしい。
「これはいったい……なんですの?」
タルボの疑問ももっともだ。この状況って……
「まったく、いつも通りっスね」
「そうなんだよね。何も変わってない」
襲撃を受けたのなら何かしら戦闘の跡が残っていてもいいはずなのに、まったく普段通りだ。木が折れている訳でもなく、大地が踏み荒らされている訳でもなかった。それはウチらの拠点“しっぽの家”を目前にしても変わらず、警戒して進むのが馬鹿みたいに思えて来た。
宴会ハウスの前にキティがいる。辺りを見回し、異常がないかチェックしているようだ。
「キティちゃん、様子はどう?」
「誰もいないだすな(キリッ)」
「争った形跡もありませんの」
「よし、二人一組で周囲を探そう。ルカちゃんとキティちゃんで東側を。ウチとタルボちゃんで西。プチちゃんは空から探索してみて」
とにかく周辺を調べてみないと始まらない。何かちょっとの痕跡でもいいんだ、それさえ見つかれば……。
「こういう時にガイアちゃんがいてくれたらな~」
〔そのガイアを探しているのでしょう〕
「そうなんだけどさ。アンジーのとこに似た能力もってる
〔多分無理でしょうね。ガイアは特異体質というか、言わば特殊な個体と思われますので〕
……普通に考えて特殊過ぎるくらいだもんな。
「マスター、足跡発見だす!(キリッ)」
「どこどこ?」
「ここだす(キリッ)」
「……はい?」
わからん。普通に地面があるだけだが。片膝をつき、木の葉を丁寧にどかしながら地面を観察するキティ。
「マジで忍者かよ……」
「ここから四人の足跡が南東に続いているだす(キリッ)」
「つまり、何かあって四人一緒に移動したって事か」
とりあえず襲撃受けたりとかじゃないみたいで良かったけど。それにしても何があっての行動なのかが謎のままだ。
「姐さん追いかけるっス!」
「あ、待って……」
「どういたしましたの?」
「南東……南東……何か引っかかるな。なんだっけ?」
さっきから引っ掛かっている何か。全く答えが出てこなくて悩んでいる所に、女神さんがズバっと回答を示してくれた。
〔ああ、紫のマナ、ですね〕
「そうか、南東って初代新生がいるとこだ。何か忘れてると思ったらアイツか」
って事は、四人は初代新生を追いかけたって事なのか。何の為に? あまりにムカついててボコりに行ったとか? 『皆でやっちまいますか!』って。いやいやいや、流石にそんな姑息な事をする
「やはりウチ、見捨てられたんか? みんな、かんにんやで~」
「あ~、また始まったっスね」
「マスター、それはいいからさっさと追いかけるだす(キリッ)」
――――――――――――――――――――――――――――
ご覧いただきありがとうございます。
この作風がお嫌いでなければ、評価とフォローをお願いします!
☆とかレビューもよろしければ是非。
この先も、続けてお付き合いください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます