第5話・ロッカーちゃん。
物凄い轟音を響かせて、地面に激突したプテラノドン。辺り一面に砂煙が舞い上がり、その中心でぐったりしていた。これは流石にダメージ大きいだろう。
「よし、食うか!」
「ちょっとティラノさん、そういうの止めようよ」
「そうゆうのって何だよ。獲物は喰うために獲るんだぜ?」
「野生動物としての主張はわかるけどさ、少なくとも知性を持ったんだから、なんでもすぐに“食う”とかちょっとね……」
「はあ? 意味わかんね」
……ダメだ、話にならん。今は放っておこう。
「女神さん、何か助ける方法ある?」
〔ミルクチョコには、体力回復能力もありますよ〕
「……なんか、チョコが万能アイテム化してないか?」
まあ、ポーションみたいな感じで使えるのはありがたいけど。
ぐったりしているプテラノドンの口にチョコを放り込んでみる。本能なのか生きる意志なのか、チョコを必死で飲みこもうとする翼竜。
――この時代にも生き物にも愛着はないけど、それでも救える命を放っておくのは気が
幼稚園の頃、飼っていた子猫がウチの目の前で……トラックに轢かれて死んでしまった。その瞬間の懇願するような目と、無造作にはねられた姿が、今でも脳裏に焼き付いている。多分それ以来なんだろうな、生き物の命に敏感なのは。だからと言って菜食主義者って訳じゃないし、偽善でしかないのは解っているけどね。
チョコを飲み込んだプテラノドンは唸り声とともに小さくなり、煙とともに『ぽんっ』と
「おー、この娘も美形じゃないか。美人というよりは可愛い系だな」
少し小柄な彼女は、小さい翼としっぽ、そして昭和のロッカーが好んで着る様な
そして約束珠の指輪もGET! この娘の珠は少しピンクっぽい輝きがあるな。多分恐竜によって色の違いがあって、それが個性って事なのかも。
早速指にはめてみる。ウチの中に入ってくる情報、この娘の名前。
「君はプチちゃんって言うのか~。ピッタリな名前だね」
「あ、あのぅ……」
「おめー気合入った格好してんじゃねえか!」
「ひいっ……」
中指立てながら舌を出していそうな恰好しているのに、実際はめちゃ内気なプテラノドンの
恐竜を
でもなぁ……転生先の選択肢に入るかどうかと聞かれたら『No』だよな。
「なあ、女神さんや」
〔ちりめん問屋のご隠居みたいな呼び方はやめてください〕
「あのさ、ちょっと体がダルいんだけど……」
〔それは約束珠の指輪のせいですね〕
――なんだって?
〔約束珠の指輪をつけている間、ライズにあなたの力が分け与えられます。そして、その間はずっと体力と精神力が削られ続けます〕
「……そんなヤバイ要素は先に言えよ」
〔一度はめて契約が成立したら、外しておくことを推奨します。普段はつけておく必要はありませんよ〕
ったく、ホント肝心な事言わない女神さんだな。
つけっぱなしにする必要がなくてホントよかった。これ続けていたら、どこかのゲームプロデューサーみたいにアクセジャラジャラな人になっていた所だ。
〔また、今のあなたでは同時に付けられる指輪は、多分二つが限界でしょう〕
「それって、ウチのレベルが上がれば沢山つけられるって事?」
〔そうですね、同時に分け与える力も強くなります。まあ、レベルなどという概念はありませんので、純粋にあなたの成長がカギになるという事ですが〕
たった二つでもわずか数分で疲労感を感じるくらいだから、この指輪はウチの力を相当吸い取っているんだろう。これを使うのならマジで体力つけないと駄目だな、ヒッキーのウチには超絶過酷な話だよ……。
……はあ、誰か異世界に連れて行ってくれ。
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キャライメージ画
プチ→https://kakuyomu.jp/users/BulletCats/news/16817330651004115405
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