第23話新たな特異体質の住人、真澄
・前書き
近況ノートにも書きましたが色葉のキャラを不快に思われる方が多いようなので、22話以降を書き直して修正を加えます。
そのため一日一話アップのペースが遅れてしまうかもしれません。申し訳ありません。
また、色葉のキャラを不快に思われた方に対しては作者の配慮不足でした。申し訳ありません。修正していこうと思うのでお付き合いいただければ幸いです。
「んーむ」
そう言われても困ってしまう。
見ず見知らずの他人を家に泊らせるのも問題な気がするし、かといってこんなとても事情を知らない人には言えない秘密を抱えて困っている子を追い出すというのもバツが悪い。
「いいんじゃないですか、総司お兄ちゃん。家に置いてあげても」
「色葉。そう簡単に言うがな……」
「困った時は助け合わないと。零ちゃんも文句はないですよね?」
「うーん」
色葉は歓迎のようだが、零は少し渋る。
俺は真澄を見返す。透き通った目でジッと見られる。
思わず赤面してしまいそうになるのを堪えるのに苦労した。こんな目で見られて頼まれたら断り辛い。
それにやはりこんな事情を抱えている娘を追い出すというのは非常に心苦しい所がある。
「……分かった。ウチにいてもいいよ」
「ありがとう」
「俺の名前は桐原総司。こっちは妹の零、君とは逆に昼間は大人だが、夜になると子供になる」
「そう。本当に私とは逆だね」
「ちょっと上から見下ろさないでよ」
真澄が零を見ると零が抗議する。
そうは言うが今の背の低い零を見るとなるとしゃがまない限り、どうしても上から見下ろす事になってしまう。
そして、しゃがんで目線を合わせられたりするのも多分、零にとっては屈辱だろう。
「で、こっちは従姉妹の色葉」
「よろしくお願いしますね、真澄さん」
「なんでわたしはちゃん付けでこの女はさん付けなのよ」
「いや、だって年上ですし」
「わたしも年上よ!」
新たな家の住人と自己紹介の真っ最中なのに零と色葉は諍いを始めてしまう。
色葉が零をちゃん付けで呼ぶのは別に今、零は幼い姿をしているからではなく、昔からの付き合いでそう呼んでいるのが変わっていないだけなのだが。
「まぁ、とりあえず晩飯作るよ。勿論、真澄の分も」
「手作りの料理……。ネカフェのインスタントのたこ焼きやスパゲッティじゃない」
「貴方……相当、壮絶な食生活を送ってきていたのね……」
真澄の言葉に零が呆れた様子で呟く。
この分だと料理とかは出来ないのかな。ネカフェ難民じゃ、料理する機会もなかっただろうし。
これから共同生活を送る上でそれくらいは最低限身に付けて欲しいと思うが。
とりあえず晩飯を作り食卓に並べる。それに全員でいただきますの挨拶をして食事を始める。
「お、美味しい……インスタントじゃない……」
なんだか真澄はえらく感動している様子であったが。
どんな生活を送って来たのだろうか。
「ふん。お兄ちゃんならこれくらいは当然よ」
「そうですねー。美味しいです」
零は幼い体ながら箸を器用に使ってご飯を食べていく。
中学生くらいの色葉と高校生くらいの真澄、そして、大学生の俺に囲まれて一際、幼さが目立つがそんな事を言えば零の機嫌を損ねるだけなので何も言わない。
そうして、食事が終わる。
風呂の時間だ。昨夜は色葉と一緒に入り酷い目に遭ったらしい零が一人で入る。
「お風呂。ネカフェのシャワーじゃない」
真澄は何か変な所で感動しているようだが。
それにしても昼間は大人で夜は子供の姿になる零に加えて、昼間は子供で夜は大人の姿になる真澄。
つくづく面倒臭い事になってしまったな、と思う。
昼だの夜だので姿形が変わるというのは想像以上に面倒な事だ。真澄の居候を許した事を多少早計だったかなとは思うが、見捨てるのも忍びなかったしなぁ。
「それにしても真澄さんは胸が大きいですねー」
そう思っていると色葉は真澄に水を向ける。真澄は呆然とした顔でそれに返す。
「そう?」
「そうですよ、嫉妬しちゃいますねー。まぁ、零ちゃんのつるぺたお胸もそれはそれで魅力があるものだと思いますが」
「いや、零も本来の体なら胸大きいから」
なんだか零は幼い体が基本のように言う色葉に突っ込みを入れる。なんにせよ、また面倒な日々がさらに面倒な事になった事は間違いないようであった。
・
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真澄の性格がいい感じ、色葉が少しマシになった、この家族の仲良し模様を見たい。
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