ツンデレのJK妹が夜になるとロリの体になるようになってしまった件。

一(はじめ)

第1話ロリになった妹

 慣れに慣れた自宅の扉を開くと見知らぬロリがいた。


 俺は困惑するしかない。俺の名は桐原総司きりはらそうじ。大学3年生。両親は共に出張中で高校2年生の妹、桐原零きりはられいと二人で暮らしている。


 兄妹仲はあまり良いとは言えず、平凡な大学生の俺に比べ妹の零は進学校に通い学校のアイドル的存在である。


 顔たちは美しく整っており、スタイルも良く胸は大きく腰はくびれて尻も大きい。モデルか何かと言われても違和感のない美しい外見をしている。


 それでいて勉強も出来て運動神経も抜群。コミュ力も高く男女問わず友人は多い。いわゆる、完璧超人というヤツだ。その零と二人暮らししている一軒家に見慣れぬ少女がいた。

 

 年の頃は10歳くらいだろうか。どう見ても小学生。

 幼い顔たちに平坦な胸。起伏のない体つき。その少女は不思議な事に零が幼かった頃の姿にそっくりだった。


 そして、何故かぶかぶかの服を着ていて、大きめのブラジャーまで付けているがぺったんこの胸には分不相応と言わざるを得ず、ブラジャーが包むものもないまま垂れ下がり、あらわになりそうな胸を少女は隠している。


 窓の外の景色はすっかり夜の帳が降りており、俺が大学の飲み会から帰って来たのを玄関でしゃがみ込んだまま出迎えたのがこの少女だった。


 俺は困惑するしかない。この家にこんな幼い女の子はいない。呆然としていた俺だったが何とか言葉を紡ぎ出す。


「えーっと、君、誰? どこの子? どうして俺の家にいるの?」


 その問い掛けに少女は信じられない事を発した。


「わたしよ! お兄ちゃん! 零よ!」


 は? 俺は目を丸くして口を馬鹿みたいに開く事しか出来ない。


 目の前の小さな女の子が妹の零? いやいや、有り得ないだろう。


 零は高校2年生だ。断じて目の前のどう見ても小学生くらいにしか見えない女の子ではない。


「何を言って……零は俺の妹で高校生だぞ。君みたいな幼い女の子じゃない」

「わたしなのよ! 信じて、お兄ちゃん! 体が幼くなっちゃったの!」


 必死で訴えて来る零を名乗る少女。

 そう言われてみればその少女が着ているぶかぶかの服は零の服のような気がするし、先に言った通り、その顔たちは幼い頃の零にそっくりだ。


 だけど。いやいや……。


「なんで零がそんな小さな女の子になっているんだ?」


「そんなのわたしにも分からないわよ! でも、信じて、お兄ちゃん! わたしは零よ!」


 零を名乗る少女はそう言い張る。俺は未だ信じられない気分のまま少女を見つめる。


 ジーっと見つめていると零を名乗る少女は怒ったように声を上げる。


「何、見ているのよ! 変態! お兄ちゃんはロリコンだったの?」


「そんな訳ないだろう。君みたいな小さい女の子に興味はないよ」


「そ、そう……それはそれで傷付くわね……」


 俺の言葉に零を名乗る少女は何故かショックを受けたような顔になる。


 とりあえず今の少女の格好は問題だろう。ぶかぶかの服であらぬ所がともすれば見えてしまいそうだ。


 俺は自分が羽織っていた上着を少女に着せる。少女は上着の前を閉めてあらわになっていた平坦な胸を隠す。


「あ、ありがと……この歳になって着替えさせられるなんて屈辱的だけど、お礼は言っておくわ」

「この歳も何も君は小さな女の子だろう」

「だから零だって言っているでしょ!」


 憤り少女は立ち上がる。

 その勢いでぶかぶかのスカートが落ち、さらにぶかぶかのパンツも落ち、股間が露わになる。


「きゃ、きゃああああ!」


 少女は幼い少女らしからぬ悲鳴を上げて再び座り込む。それで何とか、隠すべき所は隠す。


「お、お兄ちゃんの変態! ロリコン!」


「いや、俺は何もしてないだろ!?」


 なんだか見知らぬ少女に変態だのロリコンだの言われて俺は困惑するしかない。この零を名乗る少女は一体、何なんだ。


「それより零はどこだ? こんな時間なのにまだ帰ってないなんて事はないだろうな」


「だからわたしが零だって言っているでしょ!」


 断固として少女は自分が零と言い張る。


「く、信じられないなら言ってあげるわ。お兄ちゃんの好物はカレー。ジャガイモは入れない派。好きな教科は歴史。その中でも世界史。古代から現代まで幅広い知識を探求していて、尊敬する歴史上の人物は海外ではユリウス・カエサル。日本では陸奥宗光むつむねみつ。初恋の相手は小学校のクラスメイト、綾瀬美穂あやせみほさん。彼女いない歴=年齢。将来は歴史学者になりたいと思って大学院までの進学も考えている」


「む……」


 どれも当たりだ。それなりに俺に親しい人間。それこそ妹の零でもないと知っているはずのない事だった。


 特に歴史に関しては一昔前流行った歴女れきじょでも陸奥宗光の名前はそうそう出てこないだろう。


 ちなみに一応、解説していくと陸奥宗光とは幕末から明治にかけて活躍した人物であの坂本龍馬とはお互いを認め合う仲。龍馬から刀を差さずに食っていける武士は俺と宗光だけだ、とまで言わしめている。


 明治政府の大臣になってからはカミソリ大臣の異名をとって活躍した人だ。

 零、なのか……? 本当に? 目の前の小さな女の子が?


「零……?」


「だから始めからそうだって言っているでしょ!」


 怒ったように少女は、いや、零は言い放つ。本当にこの幼い少女が零のようだ。信じられない事だが。


「……なんで?」


 当然の疑問を俺は口にする。高校生の零がどうしてこんな小学生のような姿になってしまっているのか。


 ちょっと、理解が追い付かない。流石に目の前の少女が零である事は信じたが。


「わたしも分からないのよ。今日の夜7時ごろ。夕飯を食べたと思ったらいきなり体が縮んでこんな事になっちゃったの」

「じゃ、じゃあ、せめて着替えろよ。そんなぶかぶかの服のままでいるなんて」

「着替えがないのよ! わたしの子供時代の服なんて全部家を引っ越す時に捨てちゃったじゃない」


 家の引っ越しの事まで知っている。どうやら本当に零で間違いはないようだ。


 何故、幼い姿になってしまったのか、それを考えるのはとりあえず後回しにして服をなんとかしなくては上は俺の上着を羽織って、ぶかぶかながらなんとか胸は隠せているが、下はぶかぶかのスカートとパンツで立つだけで股間が露わになってしまう。


 それはまずい。どうしたものかと考えた末に止むを得ず。


「と、とりあえずこれを腰に巻け」


 俺は身に付けていた大きめのスカーフマフラーを手渡す。

 今の小柄な体の零ならこれでも股間を隠す事は出来るだろう。こんなもので隠すのは不本意な事だろうが。


「あ、ありがとう……」


 とりあえず零はスカーフマフラーを腰に巻き立ち上がる。無理やりだが、とりあえず隠すべき所は隠せた。


「明日、服屋が開いたら服を買って来てやる。それまではそれで我慢しろ」


「うう……恥ずかしいけど仕方がないわね。今は冬休みだからいいけど、休みが明けたらどうしたらいいのよ!」


 悲痛な声で零は叫ぶ。


 こんな体では高校に通う事も出来ないだろう。その嘆きはもっともだった。


「医者、呼ぶか?」


「医者に解明出来るとは思えないし、そもそも信じてくれそうにない」


「だよなぁ」


 高校生の零より幾分か甲高く甘ったるい声を出す零に頷きを返す。

 俺は身内だからまだ信じたが、医者に連れて行っても一笑に伏せられるのがオチだろうし、仮に信じてくれても原因を解明出来るとは到底思えない。


 現代医学とか科学とかそういうの超越している現象だろう。これは。


「ああ、もう。なんでわたしがこんな目に……」


 ぶつくさ文句を言う零。


 その態度は間違いなく零のものであった。


 どうしたものかと俺は思っていると零は踵を返す。


「どこ行くんだ?」


「お風呂入って来る。そうすればこの気分も少しはマシになるかも」


「一人で入れるか?」


 その言葉に零はこちらを振り向き怒りの表情を見せた。


 あいにく、小学生にしか見えない身では恐くもなんともなかったが。


「体は縮んでも心は高校生のままよ! 入れるわよ! それとも、お兄ちゃんはこんな体になった私と一緒にお風呂に入りたいの!?」


「そ、そんな気はない! 悪かった!」


「全く……」


 そう言って風呂場に向かう零。


 その小さな後ろ姿を見送りながら、どうしてこんな事になったのか俺は思いを巡らせるのだが、全く分からなかった。これが俺たち兄妹の波乱の日々の始まりになるのであった。


 まさかこんな異常事態を切っ掛けに俺と妹の仲が深まっていくなんて、そして、妹に振りかかった異常事態は予想を遥かに超えているなんて事はこの時点の俺は予想だにしていないのであった。



ここまでお読みいただきありがとうございます。

妹のロリ化、そこから始まる物語が楽しみ。

ロリになった妹可愛いよ

そう思ってくだされた方は星評価やフォローをしていただければ嬉しいです。

特に星評価していただけると万年底辺の作者にとっては飛び跳ねる程、嬉しく、筆の進みも良くなるのでよろしくお願いします。



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