第十話 学園道中①

 昇る朝日、鳥の鳴き声に自然と起こされそうになるが、俺は二度寝をした。


 何故かって?眠いからだ。


 学校?知ったこっちゃないね!!俺は眠るんだ―――。


 「―――て!! 起きてください!!スロウス様ぁぁっ!!」


「うわぁあっ!?な、なんだ!!?敵襲か!?」


「…何を寝惚けた事を仰ってるんですか!!今日が何の日か忘れた訳では無いですよね!?」


「あぁ、わかってるよ、入学式だろ?」


『朝からうるさいんだけど…何の騒ぎ…?』


 朝っぱらから大声を出されて頭が痛い。


 宿が揺れたかと思ったわ、大声で。


 流石のフォルンもその眠気から一気に解放され、起きて来たようだ。


 一気に覚醒させられた意識を整えて、体を持ち上げラティスの姿を見る、白を基調としたブレザーとスカートに赤いリボン。


 赤いハイソックスと黒いブーツを身につけていて、その美しい銀髪は、後ろで赤いリボンに結ばれポニーテールにしている。


 一応これでも、俺のメイドらしい。


 ラティスは俺を急かす勢いでじーっとこっちを見ていた。


「はあ、取り敢えず着替えるか、って、もう着替えてるんだな。入学式はお昼からだろ?まだ時間はある。登校がてら観光にでも行こうか」


「…わかりました。先に食事処へ行っておりますので、準備が出来次第降りてきてくださいね」


『ラティス、私も一緒に行くよ。たっっっっっっぷりとラティスと長話がしたい気分だから、スロウスもゆっくり降りてきてね、ゆっっっっくりだよ?』


 強引にラティスはフォルンに連れて行かれた、抵抗しようとしていたが鱗粉を吸わされてあっさりと抵抗は抑えられてしまっていた。


 俺は学園服に着替え始め、鏡の前でおかしな所がないかチェックをしていた。


 ラティスと同じように白を基調とした学園服だ。


 黒色のカッターシャツに白色のネクタイ。その上からは白色のジャケットで身を包んでいる。白色の学園絝と動きやすいブーツが俺の学園服になる。


 ふーむ、、中々、似合うか…?


「いや、自画自賛だけは辞めておこう」


 下手すれば黒歴史行きだ。


 俺は何もおかしなところがないのを確認すると食事処で2人と顔を合わせる。


 ラティスがとんでもなく暗い顔をしていたが。


 俺の姿を見るなり元気を出したようだ。


「スロウス様!!似合っています!!」


『…確かに、似合ってるわ…』


「ラティス、ありがとう。フォルン、確かには余計だぞ。」


 軽くフォルンにそう言って宿のおばちゃ、、ゲフンゲフン…お姉様にご飯を頼んだ。


 お姉様が何を思ったのか悟ったらしく。


 にっこりと鬼の形相で微笑んでいた。


 急いで俺はご飯を食べると、お礼とお代を出して宿屋を飛び出した。


「ふう、食った食った美味しかった危なかったなぁ」


「何がです?」


「いや、ラティス鈍感すぎだろ…雰囲気で察しろよな…」


「スロウス様にだけは言われたくありません」


『そうよ、スロウスだけは言えないわ』


 うぐ、ラティスを茶化したつもりなのにフォルンからも口論された。これはやばいな。


 その空気から脱するように、観光を始め色々なところを見て回った。


 ちなみに今、俺は鍛冶屋にいる。


 興味津々なんだよね、俺専用の武器!とか


 異世界転生なら定番だと思うんだよね


「お邪魔します」


「失礼します」


『入るわよ』


「いらっしゃい。なんか欲しい武器はあるか?」


 出迎えてくれたのは筋骨隆々ムキムキの鍛冶師だった。


「欲しい武器、か興味があってここに来たんだ。俺はスロウスよろしく」


「そうか、興味があって…ね。俺はフォルゼィだ。 早速なんだがお前ら、悪いが帰ってくれ」


「え、何故ですか!?いえ、その前にスロウス様に不敬ですよ!!」


「こら、辞めなさい。ここは中央都。俺たちは学園生であるから、ここで暮らす人間として平等なはずだぞ」


「む、申し訳ございません」


『私は関係ないけどね』


 変に厄介事になりそうなフォルンの発言には無視をして、項垂れるラティスを撫でる。


「で、何で帰らなきゃならないんだ?」


「そりゃぁ、まあ、厄介事だな…。」


「いや、俺達が解決しておくよ、そういう面倒ごとは、そしたら何か作ってくれ」


 そう言いきった時、扉がバンッと開かれて。


「おい、おっさん!!作る気になったか??俺の武器!!」


 ―――その偉そうな声の主は俺と同じ学園服を着た奴だった。


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