10 そして互酬的因果への帰結
◆
「ありがとうございました」
支払いを済ませ、店員の声を後ろに店を後にする。
どことなく周囲がざわついているような、と見渡してみると少しばかり離れたところに立ち入り禁止の黄色いテープと、ブルーシートが張り巡らされている一角があった。
当然、そのすぐそばにはランプが光ったままのパトカーが止まっている。
確かにロビンと話してる間に、サイレンの音がしたような気はしたが。
「何かあったんですかね」
「……ナニかあったよ」
何もわからず、きょとんとしてそれを見ている
「ロビンさん?」
「……オリカ、キミ、
歯にものが
何か隠していても、それをあからさまに
であれば、それは逆説的に
そして話の内容から推測して――
「私のせい、ですか?」
「オリカのせいじゃない」
明らかに何かがあったのとは反対方向――実際もと来た道がそうなのだが――に歩を進めながら、ロビンは立ち尽くす
歩みを止めない、それも急いでその場から離れるように普段よりもやや
「あの」
「オリカのせいじゃない」
言い聞かせるようにロビンは繰り返し言う。
そもそも、喫茶店の中で
その目で何を見て、そう判断したのか。
「でも」
「アレは
吐き捨てるようにロビンは少し固い表情のまま言う。
「……
「言っただろ、あの
きゅっとロビンの眉間にアイロンをかけたいぐらいのシワが寄った。
悪い目つきがさらに凶悪さを増す。
「今回、センセイは
その言い振りからするなら、ロビンとしては本来そうは見えなかったということだ。
自身が余りにも多くのものを見ているせいか、この
何を見たかについて、嘘をつく事も、それを
「あの、そしたら、ロビンさんには、何が見えてたんですか? さっき、話した以上のものが、見えてたんですか?」
少し上がった息で
「grudge, spite」
「はい?」
唐突な聞き慣れない英単語に
「ん……悪意、
「……私には、そんな」
「
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