Cock-Robin's giving back 3
「ねえ、シンシア……キミは、あの神様の事、わからなくなったの? それとも、忘れちゃったの? 僕は、キミから何を奪ってしまったの?」
シンシアは紅茶のカップを置くと、小さく頭を横に振りながら口を開いた。
「……感じられてたはずの気配を、
「僕の、せいだよね?」
「気にしなくていい。あいつがそう言ったんだ。あんたのせいじゃない」
そう言われても、自分を助けなければ、そんな大事なもの失わずにすんだのに、という思いはなくならない。
――これ、神様なんだ。
そう、少しいたずらっぽく笑って、得意気に教えてくれた。
そこにあったのはあの人が、その神様に感じている確かな絆とぬくもりだったのに。
「……僕、日本に、キミに会いに行って、いいのかな。キミ、怒ってないかな」
「気にするなって、向こうが言ってるんだよ。ロビン、気にするだけ無」
「キミ、寂しくないかな」
目の前が
シンシアは言葉を
「……あいつはいい大人だよ。自分のケツくらい、自分で
「でも、僕、こんなの、こんな……聞いてないよ、キミが、そんな、なんで」
どうして。
受け取ったティッシュを握りしめる。
「こんなの、キミには損しかないじゃないか!」
叫んだ自分を見つめたまま、シンシアがため息をついた。
「まったくもってそれはそうなんだけどね。それでも、あいつはそれを良しとしたんだ。どうかしてるぐらい、お
だから、あいつは
シンシアがそうボヤいて、ティッシュをまた取ると、今度はロビンの鼻に押し付けてきた。
「うぶ」
「そもそも、あたしがあいつと知り合ったのは日本に行った時に、たまたまいざこざの中で行きあっただけだよ。
そう言って、シンシアはロビンの鼻を
遠慮なく、力いっぱい鼻の
「その時から、やたら親切だし、へらへらしてるしで、最初は信用ならなかったけどね。でも、本当のところは、ただあいつの良しとする方向が他人の幸福なだけなんだ」
「……少なくとも、上手な生き方じゃないね」
そう返して、眼鏡をズラして握りしめて固くなったティッシュで、
「そう言うなら、あいつは生きるの下手くその中の下手くそだよ。まあ、あいつも変な境遇ではあるから、あいつなりに思うところがあるんだろうけどね」
何度目かのため息をついて肩を
「でも、あいつのことを受け入れたやつはみんな、あいつを見捨てられない。あたしだってそう。そして、ロビン、あんたも」
こう言っていいのかはわからないけど、と前置きをしてシンシアは続ける。
「もし、キミのそういうとこがイヤで、矯正してやりたいなら、いっそ押しかけ弟子になって管理してやるってのは手だよ」
「押しかけ弟子……」
その、単純に日本に行くというだけではない提案は、ロビンにはとても魅力的に思えた。
恩人がこれ以上損をしないように、恩人を支えられるなら。恩人の役に立てるなら。
それが、自分の奪ったものと、釣り合うわけはないけれど。
これがエゴだというなら、ロビンを助けたのは向こうのエゴだ。
「まあ、あんたはやりたい事をやりたいようにやればいいさ。キミはあんたのそういう未来を望んだんだから」
「……うん。僕、もっと勉強して、それで、日本に行く」
そう言うと、シンシアは少し目を細めて
「勉強は十二分だから体力を付けた方がいいんじゃないかねえ……」
それから、更にウン年と
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