ποτνια θηρων 12
不意に、ころり、ころころと、鈴を転がすような声がして、左目が、
右目が何も拾えぬ真っ暗闇を映しているのとは正反対に、左目は僕自身の意思など介せず、祝福として
そして、ギョッル川の金の橋の乙女と、霧の世に構えられた雪
光を当てられたわけでもないのに、情報量の多さに左目がちかちかする。
――
ころころと笑いながら声が言う。
妖艶な声は、左目から入る不吉の予兆がなければ、そのままそちらに不用意に寄ってしまいそうな、不吉を隠した
――
ちょっと向こうからしたら僕はこうなのかもしれないなあ、と思った。
――
言葉の端々に
下手に受け答えることもできないまま、僕自身が緊張して嫌な汗すらかいているのを、どこか他人事のように感じている。
――
懐かしい匂いの記憶が鼻先を
きっと、そうできていれば幸いだったこともあるだろう。
けれど、そうできなかったからこそ幸いだったこともあるわけで。
「……かけまくも
後悔がないこともないけれど、それでも僕は。
できる限り向こうに寄せて伝える。それが
「
まだ、死ぬつもりなんかないので、下手に出つつ
まあ、こうして無理矢理に呼ばれてる時点で無駄な可能性もあるのが怖いんだけど。
――
先に向こうの領域に踏み込んだのはこっちだというのに、表向き、向こうは存外機嫌が良いように見える。
でも、それならやっぱりこんな急な呼び立てみたいな事をする必要はないのだから、怖い。
いや、さすがに右目や内臓取られるほどには縁がないと思うんだけど、大丈夫だよな、これ。
――
とてもとても甘く
日に千人を殺すと
どうにも不快を感じる反面、田んぼの泥の中を歩くような妙な気持ち良さと、背を
なんとなく思い浮かぶのは、ウツボカズラの捕食だ。
あ、これ、ダメなやつでは、と思った瞬間――
――
ばつん、とテレビを消したように、
左目は暗闇に、右目はなんの変哲も無い
同時に、突如として足元の傾斜が平らになって、普通はあり得ない瞬間的な平衡感覚の変動で、まるで突き飛ばされたように、またよろめいて、たたらを踏んだ。
恐らく、時間としては一瞬だけ。そして、全身にびっしょりと嫌な汗をかいている。
自然と息が上がっていた事に気付いて、無理矢理に大きく深呼吸を一つして落ち着ける。
今のは向こうから接続を切られたのか、それともあのひととか左目の縁の方で、無理に
そんな感覚を覚えるが、ひとまず、助かった事には変わりない。
部屋の中の二人に
そして、歩きながら一瞬だけ、最後の言葉の解釈
今は、
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