Arthur O'Bower 2
「それであれば、どうぞおかけになってください」
その向かいに座り、僕は本題を切り出す。
「さて、エインセル殿、聞けば
「ええ、そうね。だって
「おや、食い違いがあるようですね」
ここからが祝福への転換交渉開始だ。
「キミは、突然現れた妖精に
「……
「それはキミ自身の意思でも、キミ自身がどうにかできた
「
しっかりとこちらを見て、ロビンは答えてくれた。
そして、僕は、どこかわくわくとしている子供のように無邪気に、にこにこと
「と、申しております。彼は
「……だから、この
向こうは、人の道理を理解しても、それに乗るかはわからない。
「そうですね、どうやら彼もそれを望んではいないようなので」
「……ふうん、本当に?」
「彼は、
「でも
「使われたのです、他でもない妖精自身に。人が妖精に使うべきそれを、故意であるかにかかわらず、自身に使ったのとは
「
「はい。彼は何も知らず、受け入れるしかなかった。不可抗力というものです。であれば、
エインセルはふと、笑みを
そして唐突に歌うように言う。
「……
「
唐突な問いかけに答えて、その意を
「よくわかっているのではなくて、嵐の
「……時と場によれば、否定することもないでしょう」
「あら、ズルいわ、ズルいわ、そんな言い方」
――ますます欲しくなってしまう。
絶世の美女に無邪気な笑みというアンバランスさが、圧としてのしかかってくるのを感じる。
彼女の動きにやたら目が向いてしまうのは、魔性の魅了というやつだろうか。タイプではないんだけど。
「
「お
けれど、流されてはならない。
これは、例えそれが
つまり、一歩間違えれば死。とはいえ、まだ楽な方。
「そうよ、二人とも来ればいいのだわ」
「
「そうだったわね……
「では、彼自身については不問に処して頂けますか? 繰り返しますが、
多少無理矢理にでも話を軌道修正する。端的に言えば、
まして、向こうの
くすくすとエインセルは笑って、
「いいわね、いいわね、
「彼のそれは
「ええ、ええ、そうね、
「いばら姫に与えられた死を回避する、眠りの祝福と?」
問えば、彼女は
第一関門突破。まだ気は抜けない。
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