第29話 風鈴



風の力を借りて鳴る鈴の音が

窓の外から優しく部屋へ送られてくる


汗をかいたロックグラスの珈琲に

黒蜜を加えて

ストローを差し込む


画面に向かってキーを叩けば

寸分違わぬ正確さにうんざりし

ストローに唇を寄せる


背中で聞こえる凛という音に耳をすませば


涼風だけが通ることを許しましょうと

新しい風が送られてくるようで

透き通るような音が目の前を通り過ぎると

私の中で風は絵になり

描かれた絵が音となり

窓の外へと消えて去って行く

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