第23話 葡萄畑



山間の広場

緑いっぱいの木が茂る


綺麗に整列させられた

一本一本の木が

彼ら専用の柵に支えられている


遠慮がちに木の下に入り

持って来た水筒の栓を開ける


既に体温に近いくらいに温められたお茶は

単に水分補給の役目しかしていない


すぐそばまで来た農夫の目は鋭く

顔は訝しげであったが

ただ休息しているだけだと知ると

目は細く下がる


空を見上げてひとつ頷くと

農夫は去って行った


私の頭上では

つがいの小鳥が

葡萄を狙っているのか

「ピツイー ピツイー」

と戯れているようにも見える姿で

枝から枝へと渡って行った

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