第46話ヴィヴィアンと叔父ピエール

ヴィヴィアンは叔父であり大使であるピエールの屋敷に出向いた。


ヴィヴィアン

「まだ、孝太はパン屋を始めてはいないけれど、そこに入りたいなあと」


ピエールは笑う。

「孝太君には話がついているの?」

「まだ開業もしていないんだろ?」


ヴィヴィアンは、意思を曲げない。

「孝太と一緒に何かをしたくて、パリから来たの」

「パン焼き職人でもいい、一緒に仕事をしたいの」

「・・・できれば、私が習った、おじいさんのパンを伝えたい」


ピエールは苦笑い。

「そう言えば、ヴィヴィアンの母方のおじいさんが、有名なパン焼き職人だったね」

「彼が焼くバゲットは絶品だった」

「これも、血筋かな」


ヴィヴィアンの顔が明るくなった。

「孝太なら、受け入れてくれると思うの」

「パリのパンの焼き方も」


少し間を置いた、

「それと、私の思いも」


言い終えた後、ヴィヴィアンの顔が沈んだ。

「杉浦美和はともかく・・・あの祥子って女が強い」

「勝てる自信が・・・負けたくないけれど」


ピエールがヴィヴィアンをじっと見る。

「それでも孝太の店に行くのか?」


ヴィヴィアンは涙目。

「うん、気がおさまらない」

「私は、孝太のそばにいたい・・・本気だよ」


ピエールは、深く頷いた。

「そこまで思うなら、出来る限りの協力をしよう」

「結果は・・・ヴィヴィアンと孝太君次第」


ヴィヴィアンは涙目のまま、叔父ピエールに抱きついている。


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