第6話 保護

峠を抜け、道幅と視界が広がる。


寝静まる民家の間を抜けて丁字路、国道へ。

N市方向にステアを切る。


本来ならスピード違反だが、今は構ってる場合ではない。

幸い深夜で車通りも殆どなく、点滅信号が続く。



ほどなく交番の赤ランプと灯りが見えた。

交番の前に止め、駆け込んだ。

当直の警官に、かいつまんで事情を話し

助手席から女を降ろし交番内に入れた。



受話器を置く。

「いやぁ、君もエラい事に巻き込まれたね。

署の方に連絡したし、後は警察に任せれば大丈夫だからね」


年配の警官がお茶を出してくれた。

追ってきた連中が気になり

しきりに外を振り返ってた僕の不安を察したのか。



パトカーが交番前に止まる。

警察署の方で事情聴取するため、僕と女はパトカーに乗せられた。


ドラマでしか見た事のないパトカーの中や

閉塞感の強い取調室に

まるで自分が逮捕されたような

緊張と不安で一杯になる。



N市の大学生である事や出身地などの

身元確認や

今夜、あの駐車場を訪れた理由や

経緯など、何度も説明させられた。



刑事のひとりが取調室を出た。


沈黙の取調室で、しばらく待たされると

ここから出られるのだろうか

予想もしてない理由で、逮捕されるのではないか

と不安が更に大きくなる。

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