夜中に女の子を拾ったらヤバい奴らに追いかけられて捕まりそうになったけど秘密の場所で振り切ったぜ！

第4話 逃走

バックミラーに反射するヘッドライトが眩しい。

アクセルを踏む足が震えている。

まさかこんな

サスペンスドラマのような出来事に

巻き込まれるとは思わなかった。

女が勝手に僕の車に乗り込んできたとはいえ

かくまった僕も、ただでは済まないはず。

上りの赤い橋が見えてきた。

「しまった！」

この先は海岸沿いに続くシーサイドライン。

途中に民家も側道もない一本道で

走り屋に人気のある、ハイスピードコースだ。

クラウンとBMW。

排気量とパワーで勝る相手に

前に回り込まれてしまえば終わりだ。

どうしよう

何で僕がこんな目に……

心臓が押しつぶされそうな怖さで、手も震えている。

シーサイドライン入口のトンネルは

もうすぐだ。

動物注意の標識。　いつもの目印。

そこがあった！

左にステアリングを切る。

スキール音が鳴り響く。

アンダーが出てるが、構ってる場合ではない。

コースレイアウトを覚えるくらい走った峠道。

あの場所に賭けるしかない！

道が狭くなり

薄暗い街灯、畑、小屋の間を抜け

林の間の暗闇に全開で突入する＿＿＿