53.星猫戦隊、お休み期間へ


 ぐっすりと眠り体力と気力を回復した星猫戦隊コスモレンジャーのメンバーたちは、超星機神グランガイアのコクピットに集合し、今後どうするかについて話し合う。

 もちろん、飛田とびたも出席していた。


「邪竜パン=デ=ミールも全く行方が掴めないのだ。このままでは事態は悪化する一方だ。どうしたものか……」


 ソールは頭を抱える。

 決め手となる策が見つからず、その後に発言する者はいない。みんなして考え込んでしまった。

 だがしばらくして沈黙を破ったのは、ムーンとマーズだった。


「今は少し、息抜きをしてはどうでしょうか?」

「そうだな。暗くなってもしょうがねえ。今、出来る事がないってんなら、せめて明るく行こうぜ!」


 途端、コクピットの中がざわめく。緊張の糸が解け、コスモレンジャーのメンバーたちの表情がパッと明るくなる。


「そ……そうね。思えばずっと張り詰めていたもんね……」

「フン。癒すことの大切さがようやく分かったみたいね」


 マーキュリー、ヴィーナスも表情を緩ませる。


「よし! 基地の建て直しなどやることは山積みだが、今は全て忘れて、ゲームでもしようか!」


 ソールの一言で、コクピット内はポフポフと拍手の音が響いた。

 だが飛田は、未だ張り詰めた表情だった。そっと、手を挙げる。


「あの……。私はまた検査があるので、一度帰ります。それに……依頼案件をこなさないといけないので……」

優志まさしよお、テメエは一番しっかり休まなきゃいけねえ体なんだろうがよ。帰ったらちゃんと休め」


 ゴマが、口を挟んできた。


「……そ、そうですね。何だか、休むことが申し訳ないなあと思ってしまいまして……」

「テメエはだ。また体ぶっ壊して何も出来なくなる方が、よっぽど周りにとっちゃ迷惑なんだよ」

「ぐうの音も出ません……」


 続いて、ムーンが挙手をした。


「私も、愛美さんのところへ一度帰ろうかと思います。ゴマ、ポコ、ライム、よければスピカさんも、一緒に帰りませんか?」

「ムーンさん! 珍しいじゃねえか。あんたも働きすぎだ。たまには家族でゆっくりしようぜ!」

「そうですね、心配かけてごめんなさいね、ゴマ」


 ムーンは元々、稲村家で飼われている猫一家のボスだという事を、飛田は稲村の娘——愛美から聞かされている。

 長い間居なくなっていたムーンが帰ればきっと愛美も安心するだろうと思い、飛田も少しホッとするのだった。


 ムーンはポコ、ライム、スピカに目配せした。彼らもこくりと頷く。


「ではソール、何か動きがあったら、私に連絡してください」

「分かった、ムーン。では一度解散しよう!」


 こうして星猫戦隊コスモレンジャーは、一度お休み期間を設けることとなった。



 超星機神グランガイアの外に、飛田と、ムーン一家——ムーン、ゴマ、ポコ、ライム、スピカが集合した。


「ではミランダさん、お願いします」

「オッケー!」

 

 ミランダは庭の地面に、ワープゲートを2つ出現させた。

 一方は飛田の部屋へと繋ぎ、一方はゴマたちの棲処である稲村の家のガレージへと繋ぐ。


「ミランダさん、何かあったら教えてもらえますか?」

「分かった。すぐ伝えるわね、優志くん!」


 飛田はワープゲートへと歩み寄り、ムーンたちはもう1つのワープゲートへと入って行った。


「じゃあな優志。しっかり休めよ!」

「はい! ゴマくんの言う通り、ちゃんと食事、運動、睡眠をとってよく休みますね!」

「真面目かよ! もう少しボクみてえにいい加減に生きた方が、体にはイイんじゃねえのか?」

「それもそうですね……。では皆さん、また会いましょう!」


 飛田は虹色の光に包まれ、地底都市ニャンバラを後にした。

 

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