反復未来
SFうさぎ
反復未来
目が覚めたら、不思議な空間に居た。
白くもなく、黒くもない。
何色でもない、そんな空間。
怖くはなくて、居心地が良かった。
手のひらを見ると、A4サイズ程度の紙が手に丸まったまま握りしめられていた。
ぐしゃぐしゃに丸められた紙を破らないよう丁寧に長方形に戻すと、なんの言語か分からない、少なくともメジャーではない言語のような物が書いてあった。
ぼんやりと分かるだけで言葉には表せないけれど、それは不思議と頭の中で理解は出来た。
次第に電車のような心地よい揺れがやって来て、心地よい揺れからか一気に睡魔が襲ってきて、目を閉じてしまいたいが、目を閉じたらなんとなくもう後には引けない気がして、頑張って目を開いていた。
「終点終点」
と声が聴こえた後に、黒板を爪で引っ掻いたような不協和音が耳元で鳴り響いた。
それを境に、よく分からない言語で喋っている声がどこからか流れ始めた。
とても心地が悪かったので耳を塞いだけれども、その声は止むことはなく大きくなる一方だった。
気が狂いそうになってもその音は止むことは無かったけれど、ある時急に視界が停電したように真っ暗になり、そして同時にその声は止んだ。
とても安心したけれど、なんでかその後もずっと何かふとしたきっかけで気が狂ってしまいそうな気がして、ままならなかった。
だから、少しでもあの音を思い出さないように記憶を殺した。
反復未来 SFうさぎ @sf_usagi
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