蝶になった夢から目覚めた男は思った。 蝶になったのは夢だろうか。夢でみた蝶こそ自分で、いまの自分の姿は蝶が見ている夢じゃないのか。 これは、中国の思想家である荘子の逸話「胡蝶の夢」ですが、この作品は荘子の戸惑いを体験させてくれます。自分は誰なのか。夢をみてると気づいても、覚めた先に別の夢。夢は終わらず。自分が誰ががさらにわからなくなる。 長いように思える夢の時間は一瞬だという説もあります。その時間が進んでいるか戻っているのかも分からなくなる。 優しい混乱に落とされる短編です。
読み始めるとまず、不思議な世界観に包まれる作品です。読みやすい文章と語り手によって夢の中を追って深く深く辿っていく──ほろ苦く、それでいてとても優しいお話です。なにより、素敵な語り手、主人公に癒されました!
今、とても不思議な余韻に包まれています。ふわふわと、それこそ夢見心地のような…。言い回しや表現そのものが幻想的と言うか、現実と夢の狭間に陥ったかのような…。私の硬い言葉では、この紫がかった雲のようなイメージを表現できません。まさに、胡蝶之夢としか…。是非いちど御覧ください!!
まるで夢のように文章が混濁しているのが良いです。