素直になりたくて~交換日記が繋いで、そして壊した青春の甘い思い出

北島 悠

第1話 LGBTQIAPKとは? そしてその片鱗……

 幼い頃からずっと、自分は他の普通の人とは少し違うという、漠然とした違和感に悩み続けてきました。思春期に性に目覚めてからは更にその違和感は加速して、社会を恨んだ事もあります。


 私の場合は、いわゆるLGBTではおさまりきれない、もっとマイナーな性的少数者です。これにQIAPKを加えたLGBTQIAPKという言葉があるそうですが、このKにあたる「キンキー」に属すると思われます。これは、他とは違った特殊な性的指向を持つ者の事です。


 LGBTは近年、かなり市民権を得たと感じています。しかし、他のセクシャルマイノリティはその存在すら一般の方達には知られていません。


 まずはLGBTについてご存じでない方のためにお話します。ご存じの方は飛ばしてかまいません。


 Lはレズビアンの事です。女性同性愛者を意味します。


 次にGはゲイ。男性同性愛者ですね。


 続いてBはバイセクシュアル。両性愛者です。分かりやすく言えば男も女も愛せる人。


 最後にTはトランスジェンダー。性別越境者です。性自認・性格・服装、どれか一つでも越境していれば該当します。



 今度はQIAPKについてお話します。


 まず、Qはクィア。 クエスチョニングを意味し、性的指向が決まっていない人の事です。


 Iはインターセックス 。医学的な「性分化疾患」です。両性具有、分かりやすくいえばふ〇な〇です。


 Aはアセクシュアル。無性愛者です。男も女も愛せない人ですね。


 Pはパンセクシュアル。全ての性愛者です。


 Kはキンキー。ある特定の性的指向を持った人の事です。〇〇フェチと呼ばれる人ですね。私は基本的にキンキーだと思います。


 しかし、セクシャルマイノリティは単純にカテゴリ分けができないという面があり、私は他にB、T、Aの要素も兼ね備えています。


 BとAは両立しないような気もしますが、これは時期的に重ならないからです。過去に一時的にBでしたが今はA要素が強くなっています。男も女も愛せないという状態です。



 さて、この中で私はTのトランスジェンダーでもあります。


 私は幼い頃から、「女性に生まれたかった」という願望を有していました。


 幼い頃はすごく単純でした。私は男友達と遊ぶよりも、女の子とおままごとをする方が楽しかったのです。


 でも、厳格な父は、そんな私に「もっと男同士で遊びなさい」と勧めて来ます。


 また、動物が好きなので、スヌーピーやミッフィーのぬいぐるみをたくさん持っていたのですが、これも「男ならそんな物よりプラモデルとかやらないのか」と言われてしまいます。

(自分が女の子だったらそんな事言われないのに)


 こんなかわいらしい願望からスタートしました。


 成長するにつれ、色々な知識が入ってくると、この願望にも様々な変化が生じて来ました。


 まず最初の変化は、一時的に願望がなくなってしまった事です。


 なぜなくなったのかというと、きっかけは出産に関する誤った知識です。


 当時仲の良かった友達の両親は、彼に本当の事を言わなかったのです。出産はすべて帝王切開だみたいな嘘を教えていました。


 そのため、これを聞いた私もまた、男に生まれて良かったと思い直したのです。


 でも、その勘違いはすぐに解消されました。というのも、私は動物好きで、犬を飼っていました。その犬の出産や、その前に交尾をするという事を知っていましたので、同じ動物である人間だけが違うのはおかしいと考えたからです。


 その後自分の母親からの性教育や、書籍を通じて事実を知っても「やっぱり」という感じであまり驚きませんでした。


 それで、再び女性に生まれたいという願望が復活したのです。この時はまだ陣痛が男が経験したら死んでしまう程の痛みだとは知りませんでしたので。


 そして、性に目覚めてから、特に青春時代には女性に夢中で、この願望の事もすっかり頭から抜けてしまいました。


 でも、一見するとマジョリティのように普通の恋愛やセックスを楽しむ事が出来ると思っていた私にも、セクシャルマイノリティの片鱗がいたる所に現れていました。


 まず一つ目は小学校高学年の頃の話です。性に目覚めたかどうか微妙な時期です。


 この時期にも相変わらず男友達よりも女友達と遊ぶ事が多かった私は、男友達から色々とひやかされたり、軽いいじめを受けたりした事がありました。


 そんな中で、みんなの前で「自分は一生結婚なんかしない!」と叫んでしまった事がありました。


 この時はまさか自分が本当に適齢期を過ぎても結婚出来ないなどとは思っておらず、ただの強がりだと思っていました。


 でも、今から考えてみるとこの時既に自分が普通の恋愛やセックスが出来ないという、潜在的なセクシャルマイノリティの要因を持っていた事の表れではなかったかと思っています。


◇◇◇◇◇◇



 読んでいただきありがとうございました。


 次の第2話は、私の初恋についてお話しします。お楽しみに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る