1日目

彼女と僕が出会ったのは高校の入学式。

彼女は新入生代表として壇に上がりスピーチをしていた。

僕は人混みが苦手で集会などは嫌いだった。

彼女のスピーチは至って普通特に変わった事は何も無かった。

だが何故か彼女に目が奪われた綺麗な容姿にではなくその目にだった。

彼女の目は緊張して泳いでいたわけでも宝石のように輝いていたわけでも無い。

ただ一寸先を見ていた。生徒にも教師にも家族にも目を向けずその目は何を見ていたのだろうか。

僕は不思議とその目に吸い込まれてしまった。

クラス分けがあり僕は自分のクラスに行った。クラスには彼女が居た。何故だろう彼女を見た時少し嬉しかった。集会のスピーチで彼女に興味が湧いたのだろうか。

「席に着いてください。これから一年皆さんの担任になります赤城アンナと申します。一年間よろしくお願いします。では最初ですから皆の自己紹介から始めましょうか」

先生の自己紹介が終わり次々とクラスメイトの自己紹介が始まった。

「高峯凛です。この学校の皆と仲良くしたいです。クラスメイトの皆よろしくお願いします。」

彼女の自己紹介は皆の目を引いた。新入生代表スピーチのせいもあってクラスの皆が彼女に注目していた。

「明宮真斗。一年よろしくお願いします。」

僕はこの手の物が苦手だ。人前で話す時は無性に緊張してしまい声が小さくなってしまう。そのせいか友達など出来た試しが無い。

「今日はこれでお終いです。明日からは授業が始まるので皆さん頑張りましょうね。それではさようなら。」

チャイムが鳴り生徒が次々と帰って行く中僕の目の前には高峯凛が居た。

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