パンジャンドラム。
WWⅡ中イギリス軍が開発したボビン状の兵器。
パンジャンドラマー。
その操縦士。
実際には計画倒れで役立たずだった珍妙な兵器『パンジャンドラム』が、ノルマンディ上陸作戦において実戦に投入されたという仮想世界。
史実を拾い上げながら、乗り手が当時のことを回想する。
(検索すると浜辺に横転している実物のパンジャンドラムの写真が出てくる)
主人公はアメリカ兵なのだが、女を巡るいざこざでイギリス軍の恨みを買い、ワーズワース少佐の手で試運転中の悪魔の兵器に投げ込まれてしまう。
このパンジャンドラム。設計自体が無茶なので、ゲラゲラジュースを飲んで搭乗しなければならないという欠陥ぶりだ。
起こっていることは悲惨なのだが、軽妙な語り口と、パンジャンドラムという名称も相まって、どこか破滅的な滑稽さが漂う。
現物のパンジャンドラム同様、奇書のようなお話でとても楽しめた。