転校したら異世界に召喚されました
花野拓海
第一章
プロローグ 転校生の希望の星に……なりたかった
ふと、体に浮遊感を感じて目を覚ました。
ゆっくりと意識を覚醒させ、目の前を見ると、運転している父と、助手席に座っている母の姿が見えた。
自分が今車に乗ってることを認識し、窓の外を見てみると、見覚えのない景色が広がっていた。
そういえば父の仕事の関係で今まで住んでいた街を離れ、少し、いやかなり遠い場所まで引っ越すことになったんだった。
「あ、椿起きた?」
軽く後ろを確認した時に僕が起きている姿を確認した母はそう声をかけた。
「うん、さっきね。あとどれくらいで新居につきそう?」
「そうね。あと30分もすればつくと思うわ」
「わかった。ありがとう」
僕はそう言うと、また車の外の景色を見た。
暫くして着いた新しい新居。
新居に来る前に見た新しい学校。
楽しげな雰囲気がある街。
ここからまた、僕の新しい毎日が始まるんだ!
そう期待を胸に僕は車から降り立った。
□■
「上里 椿です。よろしくお願いします!」
新しい学校への入学手続きを無事終え、僕は新しい学校に転校できた。
「はい。上里さんありがとうね。じゃあ、上里さんは……一番後ろの廊下側の席が空いてるからそこに座ってもらいましょうか」
担任の先生に言われ、僕は後ろの席に向かった。
後ろの席……あれ?僕の独断と偏見では後ろの端の席って友達が出来にくい傾向にあるんだけどなぁ……
結局休み時間になると色々な人が話しかけてくれたけど、趣味や前に住んでた場所などが聞かれましたが、僕の話題性や話術のなさが災いして、次の休み時間には誰も話しかけてこなくなってしまいました。
トホホ……
結局次の日も誰にも話しかけられることはありませんでした。
あ、でも挨拶はしましたね!
皆さんそこはかとなく僕のことをクラスメイトだと思ってくれてるのでしょう。
あまり話さなくても、今はまだ五月。
既に高校二年生とはいえ、まだ体育祭や文化祭、それに修学旅行もあります。
二年生はイベントも盛りだくさんですし、このイベントで必ずチャンスを見つけてみせますとも。
とか考えているうちに昼休み。
現在僕はクラスで1人でお弁当を食べています。
うぅ……悲しい。
クラスでは僕を除いて九人の生徒がお弁当を食べていますが、その誰もがグループで食べていて話しかけづらい。
しかも全員僕みたいな陰キャじゃなくて完全陽キャだから尚更。
転校したら陽キャ作戦(元々そんなものないけど)も失敗し、周りとの格差に打ちひしがれていると、クラスメイトの1人の足元が突然光りだした。
あれは、たしか高円寺 光って名前の人。
その高円寺くんの足元の光は収まるどころかクラス全体に広がってしまった。
クラスに残っていた僕を除いた9名も何事か!?と慌てだしている。
僕も緊急時に備えて脱出を試みるも、ドアまでの道が遠すぎる。
出来るだけ影を薄めるために窓側の隅っこの方で食べていたのが仇になってしまった。
そうこうしているうちに光は強くなっていき、クラス全体を飲み込み、光が収まると、そこには荷物がいくつか散乱しているだけで誰もいなかった。
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