第148話 タラート06

「魔物を人に変えてしまう力はこの街で過去に起こった事件の際に行方不明になった翡翠の人形が関係している。その事件では人形を持った研究所の教授が突然発狂し、その後を引き継いだ教授も同じく発狂、死亡するという事件が発端となっている。タークイーズが解決した事件はそれを模倣した事件だったんだよな」

「ああ、そうなんだ。あの時の事件は情報ギルドの協力がなければ解決できなかった。そして、今回の件でも情報ギルドの協力は必要不可欠なんだ」

「そうだな。今回も情報ギルドの協力が必要になるだろう。そして、今回の敵は現王族一派ってことだな」

「そうだ。だけど……」

「ああ…… それでいいんだ。それで、お前さんたちが望むなら協力させてもらうぜ」

「えっ、いいのか?」

「ああ、構わない。むしろ、お前さんたちに協力したい。ただ、少し時間をくれないか?」

「わかった。情報ギルドのマスターが協力してくれるってだけでも心強い。よろしく頼む」

「おうよ!」


 こうして、ノアたちは情報ギルドと協力関係を築くことができた。


「じゃあ、とりあえず今日のところは帰るわ。また明日来るよ」

「ああ、わかった。あと、クランス…… いや、クランス様。あなたはいったいどこまでやる気なんです? そこは聞かせておいてください」

「ん? どういう意味だ?」

「いえ、私はこの情報ギルドのマスターとして情報を扱う者として知りたいんです。あなたがどこを目指しているのかを」

「ふむ…… そうだな。俺は世界を変えるつもりだ。いや、元に戻すといったほうがいいのか」

「世界を? ……なるほど。わかりました。私も全力でサポートします」

「ありがとう。頼りにしているよ」


 ノアとクランスは握手を交わす。


 ――――――


 ノアとクランスは情報ギルドを出て館に戻り、リリアナに情報を伝えた。


「そうですか。よかったです。これで一歩前進ですね」

 リリアナは安心したようにほっと息を吐く。


「ああ、後は子爵と情報ギルドが連携してくれれば完璧だ。ここからが正念場だな、ノア」

「そうですね、情報ギルドと連携できればもっと動きやすくなると思います。よろしくお願いします」

「そうだな。そっちのほうは任せておいてくれ。明日もう一度情報ギルドに行って確認しよう」

「はい。お願いします」

 こうして、タラートでの一日が終わった。



 翌日、朝早くに宿を出たクランスはタラートの情報ギルドに向かった。

 昨日と同じように受付嬢が対応してくれた。バートも受付嬢と一緒に出迎えてくれ、案内されて個室へと通される。

 そこには、大きな机が置かれており、たくさんの資料が置かれていた。

 バートはその書類を整理しながら説明を始める。バートの話によると、タラートの街で過去に起こった事件の記録がまとめられているらしい。

 バートはノアたちに閲覧の許可を出し、早速事件に関する記録を探そうと席を立つ。すると、バートはノアに声をかけてきた。

 ノアが振り返るとバートは真剣な表情でノアを見つめていた。

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