第122話 帝都ニリネーレ02
―――帝都ニリネーレ
王国王都とは比べ物にならないくらい大きな街であり、多くの建物が立ち並ぶ。そして、その中央には巨大な城が建っている。この街では、街の至る所に兵士が立っており、街中にも巡回している兵士の姿を見ることができる。そんな帝都の一角にある宿屋の一室にて、一人の青年がベッドの上で横になっていた。
年齢は20代前半ぐらいだろうか? 身長は高く、髪の色は緑色をしている。目は閉じられているが整った顔立ちをしていることがわかる。
その青年は寝言を言い始めた。
――父さん…… 母さん……
俺は……
どこで間違ったんだろう――
青年は夢を見ていた。家族と一緒に楽しく過ごしていた頃のことを。
青年は目覚めると大きく息をつき
「ふー… よし!」
と気合を入れる。考えても仕方のない事だ。
街の中では身分を偽り過ごしている。この宿屋も人の出入りが激しく、いちいち自分のことを覚えている人などいない。
自分の家族が帝国の送り込んだ情報部で自身もその道を進むしかなかったなどということは誰も知らない。
そして、これから自分がやろうとしていることも……
青年は起き上がると、部屋を出て階下の食堂へと向かい朝食を食べ終え、宿を出る。青年はどこから見ても少し裕福そうな商家の息子に見える服装だった。今日は街で情報を得るために人と会うことになっている。
待ち合わせ場所は帝都の近くにある森の入り口付近にある広場。
帝都では、様々な情報が飛び交っている。特に貴族の噂話はおもしろいものが多い。青年はその情報を仕入れるために、こうして商人のフリをして街を歩き回っているのだった。
帝都の中心街を歩いていると、
「おい! 見ろよ! あの馬車! 」
「ああ、すげえ! あれって……」
「間違いねえ! 王国の紋章が入った馬車だぜ! 」
「王国から来たのか? こんなところになんの用だ? 」
「さあな、ただの旅行じゃねぇのか? 」
「しかし、王国からここまで来るなんて珍しいな」
「そうだな。 まあ、俺たちにとっては好都合だな」
「違いない。 王国に行けば大儲けできるかもしれんしな」
「ああ、そういえば、最近、王国で内乱があったらしいぞ」
「まじか!? 」
「ああ、なんでも、すごいことになってるとかなんとか……」
「なんだそれ! そんな噂が流れてるのかよ!」
「ああ、なんでも、反乱軍が勝利して国王のクロードが処刑されたとか」
「へぇー それは初耳だが本当の話か?」
「俺もその話を聞いた時、驚いたぜ。 だって、ここ最近は、そんな話聞かなかったからな」
「確かに」
「でも、もし本当ならチャンスだよな」
など好き勝手なことを噂している。帝国情報部がうまく情報を操作しているようだと感心する。
しかし、反乱か……
青年は思った。もしかすると、自分も同じかもしれないと。
青年は王国のある方角を見つめていた。
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