第61話 ロスベラ 05
「これからどうするの?」
レイナがノアに尋ねる。
ノアは真剣な顔つきになり、レイナを見つめる。レイナは、ノアの雰囲気が変わったことを感じ取り、身構える。
ノアはレイナを見つめながら、静かに語り出した。
「さっきの話に戻るけど、今回の件、おそらく俺たちが情報屋に接触することは予想されていたと思う」
「やっぱりそう思う?」
「ああ、そして、俺たちの情報を漏らした人物も、ある程度特定できると思う」
「本当??」
「ああ、俺たちの情報を集めていて、しかも、俺たちの目的を知っていた人間なんて限られているからね」
「そうなの??」
「まず、俺たちは今まで3年前の事件を中心に追ってきた。だけど、俺たちが今王都レムサに疑問を向けていることは知られていない。この3年間の情報を集めていることは冒険者ならまあみんな知っているし、彼ら自身も集めている。そしてその情報が集まるのは…ギルドだろうね。」
「確かに……」
レイナは頷く。すると、ノアは一息ついてまた話し始める。
「で、これからの動きなんだけど…、俺たちの目的地である王都レムサには、俺たちが3年前に探していた商人の息子がいる可能性がある。この人物はバルバロッサ伯爵の商会で王国中への配送のシステムを作ったと思われる。その人は恐らく王都レムサにいるはずだ。そしてもう一人、3年前レムサに向かう途中に立ち寄った村で会った人物で、俺がこの3年事件を追ってきたことを知って情報を集めてくれている人がいる。この人は今ルブストの街にいる、この人に3年間の状況を聞くことが当面の目標になるかな。ルブストに向かい、俺はその人に会う。その情報を元に次の行動を決めることになると思う」
レイナは、大きく深呼吸した。ついにこの時が来たと直感する。
ここまで3年間行動を共にしてきたノアの言葉の意味。
「そう… 私は冒険者、あの時も…今も私の周りにいる人たちが安心して生活できるよう魔物を討伐する。そして、ノアが安心して戻ってくることができるようこの場所を守り続けるわ。そしてできるだけ冒険者ギルドの情報も集めておくわ」
と告げた。
しばらくの沈黙の後
「レイナ、君を巻き込んでしまったことを申し訳なく思っているよ。俺のせいで君はこんなにも怖い目に合ってしまった。本当にごめん」
レイナは首を横に振る。
「そんなことはないわ。私こそごめんなさい。それに、ノアがいてくれてよかったと思ってるもの。本当に感謝してる」
「ありがとう、レイナ。俺もレイナに出会えて本当に良かったと思っているよ」
「うん、私も。」
二人はお互いの目を見つめ合い、笑い合う。
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