第59話 ロスベラ 03
そして、話題を変える。本当は聞きたいことが山ほどあった。
なぜこんなところにあの魔物がいたのか
一体誰の仕業なのか
だが、それを聞く勇気はなかった。もし、それが予想通りだとしたら、自分は耐えられないだろうと思ったからだ。
それからしばらくして二人は廃村を出て町へ向かって歩き始めた。廃村を出た後、特に何事もなく町にたどり着く。
門番の兵士に声をかけられる。
兵士は、冒険者ギルドカードを見せてくれと頼んできた。
レイナもカードを見せながら事情を聴く。
兵士が少し驚いた表情を見せながら、この町の周辺では最近魔物が出ることが多くなっているため、この近辺の冒険者には調査依頼が出ていたのだが、なかなか報告がなかった。そこに俺たち二人が報告してくれたと心底感謝しているということだった。
門を通ると、すぐに宿に向かう。宿の部屋に入るなり、レイナが口を開く。ずっと気になっていたことがあったからだ。
それは……
何故あの場に魔物がいたかについてだ。
今回の魔物は、まるで自分達が来るまで待っていたかのように現れた。
偶然とは思えない。
もしかしたら、誰かが何かの目的のために仕組んだのではないかと考えていた。そんなことを考えを口にしながらレイナがノアの方を見ると、ノアは真剣な顔つきでレイナを見つめていた。
ノアは静かに話し出した。
レイナも、なんとなくわかってはいたが、やはりショックを受ける。
まさかとは思っていたが、本当にそうなのかと。
レイナの頭の中には、先程の光景が浮かぶ。
「…あの時と同じなの?」
「……」
しばらく沈黙が続く。
「レイナ」
「ん?」
「今から大事なことを言うよ」
「うん」
「実は… これまでの情報収集から、やはりあの時俺たちは事件の核心に迫っていたようなんだ。あの時の連続殺人事件、コルダラ城塞都市での行方不明事件。公式には発表されていないけどエレナ第三王女失踪事件…」
「……」
「あの時俺たちはレムサに向かっていた。その時魔物に襲われたんだけど…俺たちがレムサに向くことは秘密にもされていなかったし、あれは待ち伏せだったんじゃないかと思うんだ。」
「待って!! 魔物よ? 魔物が襲ってきたのよ?? あの時私を襲ったオーガもあの狼も蜘蛛も待ち伏せていたっていうの?」
「ああ…信じられないかもしれない。だけどあの時、俺は蜘蛛の魔物の言葉を確かに聞いたんだ。そしてあの時、他の魔物の名前を呼んだんだ」
信じられない話だ。しかし、ノアがここまで確信をもって話している。
「なにより、今日のあの魔物、おそらく俺達を狙ったものだと思う」
と驚くべきことを言った。
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