第27話 事件 ノア 13
翌朝、朝食を食べ終えたころに、派遣警察騎士たちが到着したとの報告を受ける。早速、これまでのこと(エレナのことを除く)を報告する。報告を受けた隊長は、しばらく考え込むとこう言った。
―――聖王国が絡んでいる可能性か
俺たちは引き続き調査を行いたいと隊長に伝えた。しかし、
――悪いが、一度王都に戻ってくれ。
と言われた。今回のアリシア嬢殺害事件に関してはこのまま憲兵隊と到着した派遣警察騎士団が捜査を行うこととなるのだが、王都では今回の一連の事件を重く見て騎士団・軍と共同で特別部隊を編成、国内各地に配置する予定だそうで、俺たちは一旦王都に戻り、編成された特別部隊に新たに配属され、そこから次の任務地に向かうことになったらしい。
俺たちは、隊長の指示に従い、翌日、王都に戻ることとなった。
翌日、俺は、リリアナとともに王都への帰路についた。
王都までの道のりは馬車で2日程度なのでそれほど遠くない。
道中、俺はリリアナに、エレナのことを尋ねた。
――まだ記憶は戻らないようです。
と答える。やはりまだ同じ状態だったようだ。
リリアナによると、エレナに変わった様子は見られないが夜眠っているとうなされることがあるそうだ。そして、彼女は決まって、
「私は…… 誰?」
と呟くそうだ。
そんな話をしているうちに、俺とアベル、リリアナは王都に到着した。
エレナを門番がいぶかしがったが、騎士の従者という形で雇い入れたものだと押し切って王都に入った。エレナをリリアナの行きつけの食堂のおばちゃんに預け、俺たち3人は派遣警察騎士団本部へと向かった。
本部は、王城のすぐそばにあり、とても広い敷地を持っている。
俺たちはそこで派遣警察騎士団長と合流し、今後の方針を確認する。
派遣警察騎士団は小隊に別れ各地に配属され、各地の憲兵隊と協力し、連続殺人事件を捜査し情報を王都の対策本部へとあげていく。もし近隣で事件が起これば、そこにい向かい対応を行うということだった。
その後、特別部隊の配属先を告げられた。3名とも同一部隊であり、見習いではあるが一応この3名で部隊に配属されるという。
配属先は、聖王国との国境付近にあるコルダラ城塞都市だった。
俺たち3人はひとまず宿舎に戻り、身支度を整えることにした。
そして、明日からの予定を確認し、その足で食堂に向かいエレナと共に今後のことについて話し合った。
エレナが望むなら食堂のおばちゃんに頼んで俺たちが戻るまで王都で暮らすこともできるし、俺たちと一緒に行くことも可能だが、どちらにしてもエレナの意思がはっきりするまでは、俺たちが責任を持って保護するつもりだということを伝えると、エレナは俺たちと行動を共にしたいと言ってくれた。
オルドゥーズとは一体何なのか。
地の神の像はどこに持ち去られたのか。
事件は謎に包まれたまま、ノアたちは次の任務地で新たな活動を開始する。
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