《幕間》
《アズィールに頼み、あいつがあれからどうなったかの情報を閲覧させて貰った。
驚いたことに、あいつは俺も所属していた外宇宙探索チームから、俺達と対立していた歴史保護機関の地球史発信施設建造プロジェクトへと転向をしていた。
そして、この外宇宙へ地球の歴史を発信する人工衛星の建造プロジェクトに主任として関わり、いずれ帰ってくるだろう俺の為に、この人工惑星に大規模宇宙船修理施設を併設させたらしい。
俺は自分の事をバカだと思っていたが、どうやらあいつもバカだったらしい。
あいつはブラックホールに飲まれた人間が帰ってくることを信じて、人類全ての為のプロジェクトを私物化しやがった。
地球が寿命を迎えたとしても、俺が帰って来た時に、俺が再度外宇宙へ旅立てるようにしてくれていたんだ。
だったら、俺はもう一度旅立たなくてはならない。
俺は俺の夢である『外宇宙の人間に会いたい』という夢を叶えなくてはならない。
そして、この件を調べている最中に分かったのだが、どうやらあいつはこの施設そのものであるアズィールの作成についても関わっていた様だ。
性格や思考回路のモデルに自分を使用したと書いてあった。
俺がここに初めて来たときに感じた既視感と、あいつを感じつつもあいつとは全く違う性格にイラついたのはそのせいだったようだ。
運命ってのは中々不思議な物だ。
あいつとの間に子供は出来なかったが、まさかこんな形であいつが残していったものに出会えるなんてな。
名残惜しいが、宇宙船の修理が終わったのなら俺は旅立つ。
もう一度、『外宇宙の人間に会いたい』という夢を叶えるために。
これはもう俺だけの夢じゃない。必ず叶えなくてはいけない夢なんだ》
――偉大なる宇宙探検家グローブ様の手記 No.277
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