10 宿命の出会い

 大晦日。旧都・東京の市街は、二十四時が近づくにつれて、ますます群衆が溢れてくる。

 その雑踏の中で、背筋を伸ばして歩くやんごとなきかんばせの晶子は目立っていた。人を探している。何処にいるか、情報は掴んでいた。その場所を特定し、建物に入る。出雲の男と接触する機会は、日本国でしか得られない。

 扉を開け、押し入る。高密度で群れる人間が発する湿度と温度と匂いが、高貴な人脈を強固なものにするために設計された、晶子の身体を刺激した。設計どおりに反応する本能と逸脱した目的意識の、両方の刺激で興奮していくのを自覚しながら、目指す相手を発見して、接近する。

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