改元下の恋人たち ——〈自然主義者／優生工作者〉の時代

9 青か、赤か

　万世一系・男子男系の皇統が太古より現代そして未来へと続いていくことにこそ、民族の平安があることは論を待たない。歴史に学ぶことで危機を時代を乗り越え、皇統を絶やさぬシステムを現代人は作り上げた。

　選択肢は二つ。

　一夫一妻制のファミリーロマンスを一般民衆のものとして退け、中世、近世のように一夫多妻を積極的に濫用し、異母兄弟の山の中から見込みのある次代を選出する〈自然主義者〉。

　世界最高水準のバイオテクノロジーと医学を導入し、男女の産み分け及び見目麗しき外見と高貴なる内面を遺伝子レベルで設計する〈優生工作者〉。

　二派のイデオロギーは収束することは無く、出雲と伊勢の王朝に分裂した。