5_それだって、結局のところ日常である。
「皆に戻るの遅れた事情説明しないとねえ」
「あー、そう言えばそっすねえ」
いつも通りの口調で、千蔭さんが言う。それを考慮するのをすっかり忘れていた。向こうから電話が来ていない辺り、特別トラブルなんかは起きていないはずだから大丈夫だろう。
「あと、今回の件報告書作んないとだね」
「うす、書類は俺作っときますね」
「お、じゃあお願いしちゃおうかな」
するりと、トラブルから日常に戻っていく。俺たち警察官にとっては、こうしたことだって日常茶飯事だ。ふうと息を吐いて、何の気なしに空を見上げた。今日の空は晴天だ。けれど、日常の中に潜む日の当たらない場所で、犯罪は今も起こっている。
「さて、早く戻ってお仕事頑張んないとね」
「……うす」
ああ、そうだ。これが、俺たちの仕事だ。内心で呟いてから、いつも通り短く返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます