男なんてみんなヴァ~~カ!! そんな男に従う女もみんなヴァ~~カ!!
嶋田覚蔵
第1話 恥辱まみれ
今まで這いつくばって、生きてきました。私が我慢していれば、家庭は円満。それならいつまでも私は自分を殺して、家族に尽くそう。そう考えていました。でも、それももう、限界みたいです。
長男は中学2年生。親がウザいお年頃みたいで、私はもちろん夫とも、ほとんど会話はなくて、家にいるときは自分の部屋に籠りっきり。仲の良い友達とインターネットでゲームしたりメールしたりで忙しいみたいです。まぁ、そのお友達はとても優秀なお子さんみたいで、将来、超有名進学校に行きたいようで、長男もそのお友達と離れ離れになりたくないから、学校に毎日きちんと行って、一生懸命勉強に励んでいて、悪いことばかりではないのだけれど。最近、長男の頭の中はそのお友達のことでいっぱいになっていて、家族なんてどうでもよくなっているのは、ちょっと寂しく感じます。
小学5年生の長女は、どこで教育を間違えたのか、超ワガママに育ってしまって、ホント、手を焼いています。朝か特に大変で、なかなか起きない娘を無理やり起こせば機嫌が悪い。起こさなければ起こさないで、「なんで起こしてくれなかったの」と文句を言う。起きたら、起きたで「今日は、パンがいい」とか「ご飯がいい」とか、「目玉焼きは半熟で」とか。ウチはホテルではないので、そんな注文をされても対応しきれないのに、娘の望みどおりにしてあげないと、途端に機嫌が悪くなる。
小学5年生の女の子といえば、カラダがいろいろ変化してきて、なにかとイライラするお年頃だっていうのは、私も女だから察しが付きます。けれども、そのイライラを母親に全部ぶつけられても困ります。
先日、こんなことがありました。
朝の8時過ぎ、夫も長男もすでに出かけて、娘だけ出かけるにはまだ間がある時間帯。
娘が私に言うんです。
「パパに朝のウンチは、公園でするように言ってくれない。パパ、朝のウンチ、長いし、そのあとトイレに入ると、もの凄く臭いし。髪の毛とか制服とかに、ウンチの匂いがしみ付きそうで、とってもイヤなの」
こんなこと言うくせに、娘はいわゆる”お父さん子”で夫が仕事から帰ってくると、嬉しくて父親のそばを離れません。
「算数のテストで100点取ったの」とか、
「校庭で飼っているウサギの飼育係になった」とか、学校であったことを一生懸命話す。
そんな娘がなぜ、「パパにトイレを使わないように言ってほしい」と私に言うのか。
理由はすぐに分かりました。娘は続けて言うのです。
「でもママは、そんなことパパに絶対に言えないよね。だってママはパパに養ってもらっているんだもの。立場的にママは弱いから、いつもママはパパにビクビクしているの。私はちゃんと分かっているんだから」
娘はそう言うと、私がどんな反応をするかじっと観察していました。それで私が何も言い返せないのを見て、
「ほらね。ママはパパのドレイだもんね。夫婦ってホントは対等なはずなのに、ママは専業主婦で養ってもらっている立場だから、パパには何も言えない。私そんなママが大嫌い。だって、私も女だから、結婚したら私もママみたいにドレイになっちゃいそうだから。女に明るい未来なんかないような気がする」
小学5年生にここまで見透かされていたりです。私はその場で身が縮まる思いをしていました。
そしてその日、悪いことは重なるもので、一通のメールが送られてきたのです。送メールの差出し元には心当たりがありません。
「アナタみたいな人のこと世間では、”サレ妻”って呼んでいるのよ」というメッセージとURL。そんなシンブルなメールでした。
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