利根川サイクリングロードぶらり旅(柏〜銚子)

中原圭一郎

第1話 初日

 利根川と利根運河の分岐点に立っている。

 ゴールデンウイーク中、突然予定が空いた。

 かみさんのご両親が、かみさんに

「孫を連れて泊まりにおいで」

 と言ってくれたのだ。

 私には、4歳の娘と2歳の息子がいるが、かみさんの両親はこの二人をとても可愛がってくれている。

 1泊二日、私の予定が空いた。

 幼い子供を持つ方ならわかると思うが、平日も休日も、自由な日など1日たりとも無かった。自由な時間があるとすれば、子供たちを寝かしつけた後の夜の時間だけだ。その時間も、『光速スプリンター』の執筆の時間に充てている。ただ、1日ポッカリ開く事などなく、なにをすればいいのか、全くわからなかった。

 そこで、まだ子供が生まれる前、かみさんがクロスバイクで千葉県一周の自転車旅をしたというのを聞いていたので、その真似をしてみることにした。

 ちなみに、かみさんが旅をしている頃、私は福岡に半年ほど出張中だった。

 11月に組んだばかりの、Bianchi Oltre XR4のリムブレーキ仕様で行くか、子供達の保育園の送迎用に買った、ミニベロロードで行くか迷ったが、長い道のりは楽な方が良かろうと、「ビアンキちゃん」で行くことにした。

 持っていくものを整理する。

 まずは、スマートフォン。充電器ケーブルも忘れてはならない。

 財布。大量のキャッシュカード、ほとんど使っていない会員証類でパンパンなので、小銭入れに1万8000円とクレジットカード、何かあった時のための健康保険証、現金が足りなくなった時のための銀行のキャッシュカードだけを入れて、軽量化を図る。

 そして輪行バッグ。自転車を解体して袋に入れ、電車に乗れるようにするためのものだが、自転車が壊れて乗れなくなった場合、疲れて嫌になってしまった場合、急に帰らなければならなくなった場合など、あらゆる場面で必要になる。

 着替えは最小限で、パンツと防寒用のラッシュガードのみ。着替えがパンツだけなのは、浴衣が宿泊先のホテルに用意されているから。防寒がラッシュガードなのは、薄い生地で畳むと小さくなるから。

 補給食のあんぱん。5つ入った奴。ハンガーノック対策。ハンガーノックになると、本当に辛い。サイクリングロードの途中には、コンビニはそれほど多くない。

 ロードバイクに搭載する荷物はこれでいいとして、今度はポケットに入れる荷物になる。

 右のポケットは、あまり取り出さない用。貴重品。財布とメガネ。

 真ん中のポケットはスマートフォンとあまり貴重じゃないもの。スマホの他は、チェーンロックを入れてある。

 一番右は、頻繁に取り出す用。タオルハンカチとポケットティッシュ、不織布マスク。

 頻繁に取り出すものと、貴重品を分けてあるのは、ハンカチなどを取り出した拍子に、財布も一緒に出てしまい、落としてしまうのを防止するため。

 体に装備しているのは、ヘルメット、アイウェア。アイウェアは、色がついていないものを選択。遅れに遅れてホテルへの到着が夜になった時に、視界が悪いと危険だからだ。

 マスクは、スポーツ用を一応つけるが、布製でスカスカなので、実質効果はない。サイクリングロードですれ違う人が、嫌な思いをしないように、という程度の理由。自転車を降りて買い物に行くときなどは、ポケットに入れてある不織布マスクをつける。

 骨伝導ヘッドフォン。道に迷った時に、スマホと接続してルート案内をしてもらう時。あと、走るのに飽きたらRadikoでも聞こうかと。

 ペダルは、トレーニングの時に使っていたSpeedPlayから、SPDに変更。

 シューズがフラットな方が歩きやすいので、ミニベロロードと交換した。

 荷物は、極限まで軽量したつもりだ。ボトルゲージはツールボックスとドリンクボトルが一本。水が満載だ。

 銚子まで、ほぼ100km。天気は快晴。不安もあり、期待もある旅をスタートする。

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