航海日誌
ニャルさま
航海第一日目 旅立ち
(平成11年9月10日〔金〕晴れのち曇り)
午後5時ごろ、私は新聞配達を終えて、店に戻ってきた。すると、突然、所長が床下から現れて何事かを言い一通の封筒を渡してきた。
少ししてから、「給料」と言ったのだと気づく。毎度のことながら、この男は愛想というものがない。そう思いながら、所長に礼を言い、自分の部屋に戻った。
しかし、何かがおかしい。給料袋が妙に厚いのだ。封筒を開けてみると、およそ300万円もの大金が入っているではないか。たぶん所長が渡し間違えたのだろう。だが、私はこんな大金を返す気にはなれなかった。
「逃げよう」
私の心の何かが叫んだ。その言葉に対し、私には否定するだけの力はない。ただ、本能のままに走りだしていた。
私にはやらなければならないことがある。それは、今週の日曜日に望月氏にやった「お札ビンタ」だ。あの時は24万円しかなかった。だが、今なら夢の「100万円ビンタ」ができるではないか。私は望月氏の家まで急いだ。
(二日目につづく)
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