不遇職に甘んじていた俺、実はギルドをワンオペしていたらしい。首になった俺はハズレスキル〈雑用〉で高速レベルアップして成り上がる!〜ところで不細工な俺が美少女達からイケメン扱いされるのは何故なんだ?
@akabanerobin2021
一章
第1話 非正規ギルド職員、レオ
「おい、レオ! まだかかってるのか! 早く運んでしまえよ!!!」
ザガリーギルド長は俺の顔を見るなり、そう怒鳴り散らす。俺の口からは何も考えずとも反射的に言葉が飛び出した。
「すみません、今!」
とは言うが、俺は自分があまり悪いとか、申し訳ないとかはあまり思ってない。何故ならこの仕事は本来四人でやるべき仕事だからだ。
(今朝届いたポーション九百本。四人でやっても昼までに倉庫にしまえるかどうかだってのに……)
割れないように梱包されたポーションが十本つまった箱はかなり重い。しかも、終わった後には腰痛のおまけ付き。なので、俺以外の三人はサボっているのだ。
(くそっ……俺よりステータスが高いんだからこれくらいの重さは余裕だろ!)
サボっている三人、トーマス、ヘンリー、マックスのLvは50以上。何せB級まで登りつめた後、悠々自適の老後を送るために冒険者ギルドに就職しているのだ。後進の指導やルールを守らない乱暴者を黙らせたりとかなり重宝されている存在だ。
(……だからって面倒で地味な仕事は俺に押し付けるなよな)
だが、そんなことは口が裂けても言えない。何故なら俺は訳あって二十そこそこで冒険者を退職し、ギルドに就職したせいでLvは12。つまり、どうあがいても勝てるわけがないのだ。
(でも、本当に問題なのはザガリーギルド長だよな……)
早く早くと怒鳴っているザガリーギルド長は俺を叱責することはあってもあの三人を怒ることはない。つまり、問題に気づいていながらも無視しているのだ。
「若さも技術もない上に団子っ鼻のブサイク面! お前を雇ってやってることに感謝しろよ!」
まあ、悲しいことにこれは事実だが……。怪我をしてギルドに勤め初めてから雑用ばかり。手に職もないばかりか、この年じゃどこも雇ってはくれないだろう。顔については生まれついたもんだし仕方がない。
「そんなんだからお前は非正規職員なんだよ! もっとしゃかりきにならないと正職員にはなれないぞ!」
そんなことを言ってもザガリーギルド長が俺を正職員にする気がないことは分かってる。どれだけ真面目に働いても俺をマトモに扱う気はないんだ。
「ほらほら! スキルがないんだ! 必死に手を動かすしかないだろ!」
自分で言うのも何だが、俺は割と自分の人生を達観してる。何を言われてもイライラはするが、何処かそれは他人事のように感じている。
……だが、何事にも例外はある。俺の場合、スキルのことがその例外だった。
※
十八才になり、冒険者になる資格を得た俺は故郷の村を出て、意気揚々と冒険者ギルド『ホムラ』へとやって来た。
ちなみに冒険者ギルドとは各国が魔物を駆除するために協力して作った組織。魔物の駆除や冒険者と呼ばれる組織員の管理などと引き換えに高度な独立性を維持している。
こんな超国家的な組織が存在している理由は魔物だけじゃない。実はこの世界では冒険者の持つスキルは全て精霊から与えられるもので、その仲介は古くからの契約で冒険者ギルドがすることになっているからだ。そのため、スキルを使う人外の存在が国家間の戦争に加担しないようにこんなことになっているらしい。
とにかく、俺は一旗上げるべく冒険者になることを決意した。自分で言うのも難だが、俺はなかなか覚えが良かった。剣術や体術は勿論、記憶力や計算、おまけに料理や家事などでも大人顔負けだったから一生田舎で燻るなんて考えられなかったのだ。
「次、クロベリー村のレオ!」
「はい!」
ついに俺の出番……
俺は目の前にある石版に手を触れた。これは冒険者になった時に渡される冒険者プレートの巨大版。スキル付与の力がある分、大きくなっているらしい。
パァァァ!
俺が手を触れると、石版が光り始めた。そして……
◆◆◆
レオ 人間(男)
Lv 1
力 9
防御 7
魔力 6
精神 6
素早さ 8
スキル
◆◆◆
え?
「スキルは……?」
「これはどういうことだ?」
周りにいたギルド職員が騒ぎ出す。どうやら彼らも未経験の事態らしい。
「スキルの欄に何も表示されないってことは、スキルはないってことだろ」
ザガリーギルド長の冷たい一言が俺の胸に突き刺さる。スキルがない……? そんなことって……
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