第肆楽章「歌を統べる者」
壱「不時着」
》一九一五年二月十九日 四時十三分 グレヱトブリテン島 ――
『植民星探索艦
長い永い悠久の航海。やがて燃料が尽き、無重力の海を漂うようになり、小惑星と衝突した。
大多数の艦が辿る、定番の末路である。
しかし、ここからが少し違った。
♪ ♪ ♪
……目覚めると、
彼女たちの『部屋』も、有事に際して透明になったガラス壁越しに見える他の部屋たちもみな平等に、物という物が引っくり返っていた。
ある者は構造物に
生きている者も無事ではなかった。
が、それでも蒸発してゆく彼らと同じ末路を辿るのは時間の問題だった。
何しろこの区画は外気に触れていて、物凄い速度で以て
その時、意を決した男性が自分の『部屋』から飛び出して、隔壁を降ろす為のスヰッチを押して呉れた。
果たして隔壁は下り、
じりじりと
男性はそこで力尽き、虫の息のまま、震えるばかりの
隔壁に守られたこの区画は
こうして、二人の男性の犠牲によって九死に一生を得た
気が狂いそうな日々だった。
ひたすら
ある日、目覚め、いよいよ自分の命もこれまでかと思って自身の
左右の
♪ ♪ ♪
……どのくらいの月日が経ったであろうか。
父と母が呉れた命も、
謎の生命体は、また別の生命体――子供?――を抱きかかえている。
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