6/6

 待てども待てども営業から謝罪はない。

「で、退職の話はどうなってるんですか?」

 Nさんは役職者であるのでザード@は突っついてみる。

「退職の話としては進んでる……と思う」

「だけど営業は私が辞めると聞いたら、如何にして最後の月の私の売りを計上するかだけを考えて動き始めましたよね。この状態で会社を信じることなんて出来ないですよね」

「ザードさんの言ってる通りだわ。こっちからも営業は突っついているんだが、なんか答えがパッとしないんだよなあ。ザードさんが不審がるのもよく分かる」

 というかこの状態だと客先に話がいっていない可能性が高いので、本当に退職できず内定先に迷惑がかかるかもしれない。一体自社の営業はSEを何だと思っているのだ。SES企業として人を派遣すればお金になると算盤弾いて、抜けそうになったら最後のギリギリまで搾り取るという方針なのか。


「で、結局まだ謝罪やそうでなくても退職手続きの連絡すらないの?」

 しばらく経った後、Nさんが連絡を飛ばしてきた。

「このままだと出るとこに出る必要が生じますよ。あまり人を馬鹿にしないで欲しいです」

「そこはちょっと冷静になって欲しいな。こっちでもうちょっと頑張ってみるから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る