ヒーローがやってきた
一週間後ー
あれから、一週間が立った。
今日、秋帆と心春が引っ越してきた。
おかんは、二人に会うのに朝からソワソワしていた。
「みっくん、へんかな?」
「なんやその、くそダサい格好」
おかんは、まっピンクの服にまっ黄色のスカートはいてる。
「頭、おかしい思われるから、普通の服にしろや」
俺の言葉に、服を着替えに行った。
「みっくん、これでええやろか」
戻ってきたら、結婚式でる為のドレス着てる。
「なんでも、ええわ」
「何時やったっけ?」
「だから、三時やったやろ。早いねん、まだ朝の8時や」
俺は、部屋に行った。
「みっくん、お母ちゃん片付けするわ」
ブー ブー
「わかった。電話やから、ちょっと閉めて」
そう言って、知らない番号の電話にでた。
出た瞬間、すぐに誰かわかった。
話して、電話を切った。
プープー
「くそ腹立つわ。」俺は、電話を切ってイライラしていた。
おかんは、現れなかったから暫く目を閉じていた。
気づくと俺は寝てて、ノックの音で起きた。
「みっくん」
「今、何時?」
「二時半」
「もっと、はよ、起こせよ」
俺は、ガバッと起き上がった。
明日と明後日、二人の為に休みとったのに明日は一緒にいるのは無理そうやな。
俺は、服を着替えてリビングに行った。
おかんは、普通の服にかわっていた。
「おかん、今日何食べるん?」
「こっちゃんと、お父ちゃんが好きなやつ」
おかんは、喜んで準備してる。
俺は、洗面所で顔を洗った。
こっちゃんとおとんが、好きなやつはしゃぶしゃぶやな。
千切りのキャベツと椎茸ともやしをたくさん入れた鍋の中で、しゃぶしゃぶする鍋が二人は大好きやった。
けど、おとんが亡くなってから一回も作らんかったで。
リビングに戻ってきたら、おかんは、キャベツを千切りにしてる。
「そんなん食べるん、21年ぶりやけど」
俺の言葉におかんは、こっちを見た。
「そやな、食べたら泣いてまうから。でもな、みっくんのヒーローには食べさせたくなってん。」
そう言って、おかんが笑ってる。
インターホンが、鳴った。
「出ておいで」
おかんに言われて、玄関に行った。
「家、間違ったか思たわ」
秋帆が、そう言って笑ってる。
「引っ越して、きたよ」
心春が、顔を覗かせた。
「どうぞ、狭いけど」
俺は、二人を家に入れた。
「お邪魔します。」
二人を連れて、リビングにきた。
「おかん、ちょっとええか?」
おかんは、こっちを向いた。
「初めまして、
「初めまして、
そう言って、二人はおかんに頭を下げた。
「秋帆君に心春君やね。初めまして、美月の母です。」
そう言って、おかんも頭を下げた。
「これ、よかったら食べて下さい。」
秋帆がおかんに何かを渡す。
「引っ越しうどん?」
「蕎麦苦手で」
秋帆が、頭を掻いて笑った。
「ありがとう、もろとくわ」
そう言って、おかんはまた料理し出した。
「美月のお姉ちゃんとお父さんに手を合わせてもいい?」
心春が聞いてきた。
「ええよ、こっち」
そう言って、仏壇に案内した。
二人は、並んで座った。
「お父さんもお姉ちゃんも、綺麗な人だね。」
心春が、写真を見ながら言う。
「なんか、照れるな」
俺は、頭を掻いた。
「双子の姉ちゃん、目元がそっくりやな」
「当たり前だよ。双子だよ。」
秋帆の言葉に、心春がそう言った。
二人は、袋からお菓子を出して供えてる。
「これから、美月の時間を貰うことを許して下さい。」
「これから、美月の傍にいることを許して下さい。」
心春と秋帆が、そう呟いた。
「かまへん言うてるわ」
おかんがいつの間にか後ろに立っていた。
「ご飯食べよか」
おかんは、二人を見て笑ってる。
二人共、立ち上がってダイニングに座った。
おかんは、とにかく嬉しそうにしてる。
ビールを出してきて、テーブルに置いてる。
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